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THE KING OF FIGHTERS 2000 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず にせん / つーさうざんど】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 アーケード(MVS) 販売・開発元 SNK 稼動開始日 2000年7月26日 レーティング CERO B(12才以上対象) 配信 アーケードアーカイブス【Switch】2017年8月10日/823円【PS4】2018年6月21日/823円【One】2018年6月21日/842円(税8%込) 判定 ゲームバランスが不安定 賛否両論 ポイント ザ・キング・オブ・ストライカーズ旧SNK最後のKOF、置き土産のファンサービス質の高い演出・BGM良くも悪くも個性的な新キャラ THE KING OF FIGHTERSシリーズ ストーリー 概要 システム キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 移植 続編 余談 ストーリー 謎の秘密結社『ネスツ』の存在が明るみに出てからしばらくの時が過ぎた。だが、それ以来ネスツはこれといった活動を起こすことなく影を潜めてしまう。 それとは対照的に、世界各地でテロ活動が頻発する事態が発生。ハイデルンたち傭兵部隊は、その活動がK’とマキシマの二人による物だということを突き止める。早速二人の追跡を開始しようとしたハイデルンだったが、ちょうどその時、『KOF開催』の知らせが…! 驚くべき事に、招待チームの中には、K’とマキシマたちのいるチームも存在した。その二人に誘き寄せられるように、ネスツも計画の第二段階を発動させる。ネスツの活動再開は単なる偶然か?それとも…!? 世界各地でトーナメントを開始する格闘家たち。 再び波乱の予感を漂わせ、ザ・キング・オブ・ファイターズ、いよいよ開幕……! 概要 SNKの対戦格闘ゲーム『THE KING OF FIGHTERS(以下KOF)』シリーズ第7作目。翌年2001年10月30日に旧SNKが倒産したため、本作が旧SNK製としては最後のKOFとなった。 7作目ではあるが、オープニングデモではドリームマッチの『KOF 98』を除いて「EPISODE 6」と銘打たれている。 今作から2000年代に突入したことで、タイトルの西暦が略されず表記されるようになった。 前作『KOF 99』から始まった新章「ネスツ編」三部作の中編にあたり、前作で追加された4人目のメンバーによる乱入攻撃「ストライカー」システムを発展させた自由度の高さが特徴。 同社の看板絵師であった森気楼氏が最後にキャラクターイラストを担当したKOFでもある(彼はその後、カプコンに移籍)。 システム 操作系統はネオジオの基本配置である1レバー+4ボタン(弱P・強P・弱K・強K)。 基本システムは前作『 99』を参照。本作では以下の変更が行われた。 パワーゲージのストック数は再び次のキャラクターに引き継がれるようになった(『 97』~『 98』のADVANCEDと同様)。前作は前のキャラクターが倒されると強制的に空にされていた。 これに伴い、パワーゲージの溜まり具合が前作より遅くなっている。また、ストックされていないゲージの端数が切り捨てられるのは過去作と同様だが、何人目でも最大3本のままで『 98』のようなストック本数を上下するような要素は一切無い。代わりに本作はストライカー呼び出し(後述)に必要なストライカーボムの最大ストック数と現在のストック数が、メンバーが1人負ける度に1個ずつ増えていく(初期数が3個、最大が3人目の時の5個)。 MAX超必殺技の発動条件が体力無関係で「ゲージ3本消費」に変更され、任意に出せるようになった(前作では体力が赤点滅時にのみ、超必殺技がMAX版に強制的に切り替わる仕様)。 ただし、今作より全ての超必殺技がMAX版に対応している訳ではなくなり、一方でラルフの「ギャラクティカファントム」のようにMAX版しか存在しない超必殺技も実装されるようになった。 「かわし移動」や「かわし移動攻撃」が廃止され、再び『 98』までと同様の「緊急回避」(前転・後転)に戻った。 カウンターモード・アーマーモード 発動モーションに無敵判定が付き、ガード不能・受け身不能・ダメージ0の攻撃判定が出るようになった。 モード終了後、ゲージが消失し一切溜められなくなる「オーバーヒート状態」が大幅に短縮された。 目玉システムであるストライカーはアクティブストライカーシステムと銘打たれ、大きく仕様が変更。 「挑発」アクションを行うことでパワーゲージを1本消費し、ストライカーボムを回復できる。ただしこのためか、本作は挑発モーションをキャンセルすることが一切できない。 既にストライカーボムが上限値の時や、パワーゲージが足りない場合は挑発しても何も起きず、隙を晒すだけになる。 被ダメージ(喰らいモーション)中、ダウン中以外ならいつでもストライカーを呼べるようになった。 投げ動作・投げ外し中にゲージを1本消費してストライカーによる追撃が可能になった。 ストライカー専用キャラクターとして「アナザーストライカー」「マニアックストライカー」が追加された。 順番選択後は、ストライカーを「試合に出さないチームメンバー」か「アナザー/マニアックストライカー」のどちらにするのかが選択できる。 オーダーセレクト、コンティニュー 先鋒等を決めるKOFお馴染みのシステムだが、CPU戦では対戦相手のチームを把握した上で決められたが、今作は順番及びストライカーを決めるまで、どのチームと戦うのかが判断不可となった。 コンティニューもただのカウントダウンによる演出ではなく、敗北しボロボロになった姿のキャラが台詞を語る中で徐々に暗転していくという一風変わったものに。 キャラクター キャラクター一人ひとりに対応するストライカー限定の別キャラクター「アナザーストライカー」が登場。 ストライカーになった控えキャラクターは、試合前に本来のキャラクターかアナザーストライカーかを選択することができる。 ストライカー専用枠には過去のKOFシリーズに登場したキャラクター、およびKOFに一切登場しなかった他作品を出典または元ネタとするキャラクターが多数割り当てられている。中には本来のキャラクターの別衣装が割り当てられているケースもある。 さらに特定のキャラクター限定で「マニアックストライカー」も存在し、アナザーから隠しコマンド入力で出現するようになる(*1)。 ちなみにDC版やPS2版だとマニアックストライカーが特に入力無しで最初から選択可能。 さらに、PS2単体版限定の隠し要素として、一定条件で解禁される新マニアックストライカーも登場している。 下記の表のうち、新規参戦のプレイアブルキャラクターは 太字 、PS2単体版限定マニアックストライカーは 下線 を付けている。 + 参戦キャラクター&ストライカー一覧 チームまたは所属 プレイアブルキャラクター アナザーストライカー マニアックストライカー 主人公チーム K アナザーK (*2) クリザリッド マキシマ ロッキー(『ロボアーミー』)(*3) ラモン デューク(『バーニングファイト』) ネオ ジオ(『クイズ大捜査線』) ヴァネッサ フィオ(『メタルスラッグ』) 紅丸チーム 二階堂紅丸 アナザー紅丸(*4) ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ 矢吹真吾 コスプレイヤー京子(*5) 麟 如月影二 セス 大門五郎 餓狼伝説チーム テリー・ボガード ギース・ハワード ブライアン・バトラー アンディ・ボガード ビリー・カーン ラッキー・グローバー ジョー東 ダック・キング ヘビィ・D! ブルー・マリー 山崎竜二 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ 楓(『幕末浪漫 月華の剣士』) ゲーマント(ネオジオイメージキャラクター)(*6) ロバート・ガルシア アナザーロバート(*7) キング 獅子王(『風雲黙示録 格闘創世』) タクマ・サカザキ 天童凱(『武力~BURIKI ONE~』) Mr.BIG 怒チーム レオナ・ハイデルン ゲーニッツ オロチ ラルフ・ジョーンズ 七枷社 ヤミノナカオロチノチニメザメルレオナ クラーク・スティル シェルミー(*8) ウィップ クリス ハイデルン サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 初代アテナ(『アテナ』) 椎拳崇 ケンスウ(『サイコソルジャー』版衣装) 鎮元斎 白湯(『ジャンボウ』)(*9) 包 渡部薫(*10) 韓国チーム キム・カッファン キム・スイル(『風雲スーパータッグバトル』) チャン・コーハン キム・ドンファン(『餓狼 MARK OF THE WOLVES』) スマート・チャン(*11) チョイ・ボンゲ キム・ジェイフン(『餓狼MOW』) クール・チョイ(*12) ジョン・フーン カン・ベダル(*13) 女性格闘家チーム 不知火舞 神楽ちづる ヴォルフガング・クラウザー ユリ・サカザキ ナコルル(『サムライスピリッツ』)(*14) 藤堂香澄 李香緋 アンノウン(*15) 四条雛子 リリィ・カーン(*16) エディット専用 草薙京 霧島翔(*17) 草薙柴舟 八神庵 マチュア バイス(*18) アナザー庵(*19) 乱入ボス クーラ・ダイアモンド (アーケード版のみ隠しキャラクター)(*20) キャンディー・ダイアモンド(ノーマルストライカー)(*21)フォクシー ルガール・バーンシュタイン 最終ボス ゼロ(AC版およびネオジオ版では使用不可(*22)) 評価点 演出の質の高さ。 このゲームが発売された頃になるとMVS(ネオジオ)は旧式ハードと化しており、全面的なパワー不足は明らかなのだが、その中でも演出は非常に頑張っている。「演出だけならシリーズ最高傑作」との声も。 その中でも特に評価が高いのがオープニングデモで、内容は下記の通り。前半はポケットに手を突っ込んでうつむき加減にレンガ造りの壁の前を歩くモノクロのK と、背景に次々と浮かんでは消える出場キャラクターたちのカラーのポートレートとの対比。後半になるとフェードアウトして草薙京・八神庵とK がすれ違う瞬間がストップモーションで描かれ、物語のキーパーソンであるクーラの姿が一瞬浮かび上がった後に、K が手前側を蹴り上げると共にタイトルロゴが表示される。尺としては短いデモ画面ながら、各登場人物が上手く引き立てられており、非常にセンスが良い。 キャラクター選択画面の各キャラクターの顔も一枚絵をドットで描いており、鮮やかな色合いと、キャラクターの特徴をよくつかんだ構図となっており、どれも魅力的。特にK や雛子などのキャラセレ絵は今見ても色あせない。 近未来的な描写を強調した中間デモや、各チームごとに用意されたエンディング演出の評価も高い。特に主人公チーム、怒チーム、クーラ、エディット用のエンディングなどは構成の良さもさることながら、次回作での新たな展開を期待させるものに仕上がっている。もっとも実際に出た次回作は(諸事情があったとはいえ)酷いものだったが…。 SNKが誇るサウンドチーム「新世界楽曲雑技団」によるBGMの出来も文句なし。 世界観のSF化に合わせて打ち込みをイメージした方向にシフトした(*23)前作では良い曲もあった反面、全体的に統一性がなかったきらいもあったが、本作ではゲームの雰囲気とのシンクロ性も抜群。個々の曲の出来も粒揃いで、ファンの間では(BGM面で)傑作と言われる『KOF 96』に匹敵する高評価を得ている。 主人公チーム「KD-0084」は前作の曲調にピアノなどが加えられており大人びた雰囲気になり、サイコソルジャーチーム「Will」は大きく盛り上がる哀愁溢れたサビが特徴。MVSの限界に挑戦しているかのような楽曲群は、今までとは違う雰囲気ながら完璧な出来となっている。 シリーズと比較すると全体的に落ち着いた曲調のBGMが多いが、裏大会としての設定や退廃的な背景とマッチしており好評。 また旧SNKの事情を知っていたからなのか、草薙京のテーマBGMである「Goodbye Esaka」など、ネーミングも含めて哀愁を感じさせる曲もいくつかある(*24)。 エンディングBGM「CRYSTAL」はそれぞれのチームのエンディング導入にうまく合わせるため、イントロ部分をチーム毎に作っているという手の凝りよう。前述した通り、本作のエンディングの演出の高さに貢献している。 音質が桁違いに上昇するアレンジサウンドトラック版も人気が高い。 ストライカーを使ったコンボ自体は爽快で面白い。 基本的にプレイヤー同士の対戦が重視される格闘ゲームにおいて対戦バランス面を荒らしまくったアクティブストライカーシステムだが、一人プレイでCPUをボコボコにする事の痛快さを引き立てる要素にもなっており、「対戦格闘」としてではなく「格闘アクション」として遊ぶなら悪くないゲームと評価されている。実際、対戦バランス面を考慮しての調整と完成度はともかく、本シリーズが元々チームバトルというシステムを敷いていることもあって、「複数メンバーが一度に干渉することによって、よりチーム戦を前面に出した演出ができる」などの理由でこのストライカーシステムを気に入っているファンも存在する(*25)。 本作限定のアナザー/マニアックストライカーはファンサービスの方面が非常に強い要素である。 というのも、このストライカー限定で設定完全無視の大量の客演キャラクター、更にその中にはマニアしか知らないであろうマイナーなキャラクターや没キャラクターまでもが含まれている。そして、これによって総出演人数が80~90名を超えている。ただでさえ調整が難しい格闘ゲームなのに、この膨大なラインナップでまともにバランスを取ろうというのが無茶な話である。 このような何でもアリの大放出状態になったのは、本作の開発段階で既に旧SNKの経営状況は致命的に悪化しており(*26)、出来がどうあれ本作が最後のKOFになるであろうことをスタッフが認識していたためだと思われる。操作キャラでないながらも本作を彩ったアナザー/マニアックストライカーの面々は正しく「旧SNKの置き土産、最後のファンサービス」と言えるだろう。 一応、前作で明らかにおかしい性能だったプレイヤーキャラクターについては調整が行われている。 拳崇の龍連打や穿弓腿、チョイの骸突き、ジョン・フーンのふっとばし攻撃やレオナのハートアタックなど。とはいえ、本作ではストライカーが致命的なまでに対戦バランスを崩壊させてしまった為(詳細は後述する「問題点」にて)、結局焼け石に水に終わってしまった感は否めないが…。 他、『99』では『98』と比較してマイルド調整が目立ったのに対し、本作では全体的にキャラクターの性能の向上がはかられている。 CPU戦の難易度がややマイルドになった。 ラスボスのゼロも各必殺技性能自体は十分高いものの、KOFボスの常であるワンパターンでのはめ殺しがしやすくわかってしまえばあっさり倒せる。もちろん手慣れた人ならストライカーを駆使して即死連続技で葬ることも可能。 森気楼氏が手掛けたイラストはやはり素晴らしい。 36人ものキャラクターイラスト+カバーアートも描いているにもかかわらず、一人一人の構図や描き込みのクオリティが極めて高く、まさしくプロの技である。特に不知火舞の谷間。 それだけでなく、コンティニュー時の戦い敗れてボロボロになったキャラのイラストも書いており、手の入れようが半端ではない。 本作に限ったことではないが、彼の旧SNKへの貢献度はそれはもう計り知れないものがあった。 賛否両論点 新キャラクターは濃い連中が揃っており、稼働当時は賛否両論だった。しかし、現在はいずれも一定の人気を得ている。 タイガーマスク(*27)なラモン、三十路人妻ボクサーのヴァネッサ、爽やかなチームメイトの紅丸や真吾まで色物に見える程に濃い麟(*28)とセス、相撲部のお嬢様女子高生の雛子らは設定がかなり飛んでいるが、うち何人かは後の作品にも深く絡んだり、再登場も果たしている。 ラモンのモーションは非常に凝っておりソバットやサマーソルト(*29)、四次元殺法とまで言われたタイガースピン等、ぶっちゃけ佐山のモーションまんまだが、再現度は非常に高い。 その他の新キャラクターも特色の出たモーションが作成されており、どのキャラクターも使って楽しい出来になっている。 特に隠し中ボスとして、「主人公と対を成す」というオロチ編における八神 庵に近いポジションと、ストーリーの軸を担う、氷を操る少女クーラ・ダイアモンドは、演出やプレイヤーキャラクターとしての調整に力が入っていたことも相まって、今やシリーズやネスツ編を代表する人気キャラクターの一人に至っている。 通常プレイヤーキャラクターに新規の客演キャラクターがいない。 いくら『KOF』シリーズが『 96』以降から独自色を強めてきたとはいえ、『 97』では当時の各ゲーム雑誌上で外部作からの参加希望キャラクターを決める投票企画まで行ってその結果『餓狼伝説』シリーズからマリーと山崎、『 99』からは同じく『餓狼伝説』シリーズから香緋が客演初参戦していた(*30)。しかし今作ではアナザー/マニアックストライカーシステムを導入したせいか、通常の新キャラクターが全員KOFオリジナルキャラクターなのは仕方ないかもしれない。 続編の『2001』も新規の客演キャラクターは1人もいなかった(代わりに完全新規キャラクターと過去の『KOF』シリーズからの復活キャラクターはそこそこいるが)。その後、本作から実に3年の時を経て『2003』以降のアッシュ編にて新たに『餓狼MOW』などから数人のキャラクターがKOFに初参戦している。 問題点 ストライカーによる対戦バランス崩壊。本作が『キング・オブ・ストライカーズ』と言われた最大の所以。 ストライカーシステム自体は前作『 99』で導入されたものだが、前作では出すときに硬直があり、出せる回数・場面も限定されていたため使い勝手はあまり良くなく、「蛇足」の域を出ないシステムだった。 そこで本作では『MARVEL VS. CAPCOM 2』のアシストのように技の動作中などいつでも出せるようにし、挑発を行いゲージを消費することで使用回数の補充もできるようになった。が、案の定、余裕で相手を即死させられる壊れた連続技が大量発生。即死までには至らずとも相手の体力を8~9割方奪う連続技はザラにある。 なまじ自由度が上がりまくったため、小技から、投げから、対空から、切り返しから、隙の大きい技の隙消しから…とあらゆる場面でストライカーを用いた狂った連続技が可能である。ストライカーとして特に猛威を振るったのは以下の二人。 ジョー東:飛び蹴りから「爆烈拳」(その場でフックの連打を放つ必殺技)を繰り出す。この飛び蹴り→爆裂拳が何故かダウン中の相手にも当たる上に、爆裂拳部分を当てると相手を強制的に立ち喰らい状態にするため、ダウン回避不能の技を持っているキャラは、ストライカージョーで起こしてコンボを継続する事が出来てしまう。具体的な例を挙げると、ラルフは「近立ち強P>コマンド投げ>ジョー>馬乗りバルカンパンチ>ジョー>馬乗りバルカンパンチ」であっさり即死コンボ完成。ゲーセンで「超絶」というにふさわしいほどの猛威をふるっていた。ジョー以外にもラモンやロバート等も同様の性質を持つが、拘束時間が長いジョーが一番連続技を決めやすいため、圧倒的に使用率が高かった。下記のアレンジ移植では追撃不能になるばかりか、ジョー自体が削除されるという方法でバランス調整が行われたことからも、いかに本作でジョーが猛威を振るっていたのかが分かる。 セス:プレイヤー後方の画面外から飛び蹴り→アッパーを行う。この飛び蹴りの性能が非常に良く、お手軽かつ安全な割り込み・対空技・隙の大きい技をガードされた際のフォローとして機能する。飛び蹴りだけならまだ前述のような用途の技の範疇で済むが、アッパーがヒットすると簡単に追撃ができてしまうため、キャラクターによっては『セスを呼び出す→連続技を叩き込んで1ゲージ溜める→セスで繋ぐ→挑発でストライカーボム補充→(繰り返し)』という永久機関が成立する。割り込みに適した技を持つストライカーは他にもいるが、その中でもズバ抜けた強さ。ジョーはコンボ接続に特化した攻撃型ストライカーだが、セスは攻防一体を地でゆくストライカーであり、これら以外にもストライカーを利用したガード不能連携、チキン戦術など、問題点を挙げれば枚挙に暇が無い。 このため使いやすいストライカーと、そのストライカーと相性の良いキャラが本作の強キャラとなっていることが多く、システムがキャラ性能までもを食っているという点で度々批判される。後の『2002』でもどこキャンについて似たような批判を受けることがあるが、ここまで極端ではない。 例として庵はストライカージョー以外ではまず使われることは無い性能と言われており、逆にロバートはストライカーを交えない純粋な性能ではトップクラスと言われている。 なお、本作に限らずKOFシリーズのプレイが盛んな中国では、禁止行為として「1回のコンボにおいて2回以上のストライカーの使用禁止」「ガーキャンふっとばし攻撃から直接ストライカーに繋げる行為の禁止」が制定されている。ようするに先述のような即死コンボがほぼ組めなくなっているのだが、 それをもってしてもジョーの使用率は高い。 上記に加え、「挑発をすることで、ゲージ一本をストライカーボム一個に変換できる」というストライカーボムの補充方法から『 96』(*31)以来に挑発が飛び交う事にもなった。『 97』以降ではわざわざモーションと専用ボイス付きで存在する割に特に効果がなく、あくまでも演出におけるオマケの一つ(*32)で使う機会が滅多にない物ではあったが、相手を挑発する物に変わりなく、それを合間合間に何度も使い使われるのは嫌な人もいた事も事実である。 先述で記載したような強いストライカーがとことんなまで強い一方で、弱いストライカーは救いようがないまでに弱い。そもそもKOFの伝統ではあるとはいえ操作キャラの数の時点で大所帯な上に、今作はストライカーの数も各キャラに存在するアナザー/マニアックストライカーを含めたら規格外な規模である。そんな短期間で整理するのが困難な数だというのに、短い開発期間でバランスを調整するなんて、無理・無茶・無謀ともいえる。 ストライカー以外のバランス面における難点 『ストライカーを使用禁止にすると意外とバランスは悪くない』と言われることはある。だがそれも『当時のKOFシリーズの平均で』という話であり、アーマーモード・カウンターモードの相性を含めたキャラクター格差が決して小さくないため、全員を底上げして穴を埋めるストライカーがいたほうがむしろバランスはマシとも見れる。結局のところ、ACでの対戦ではストライカー禁止ルールはあまり普及しなかったのだが…。 そもそも新キャラクターの一人・麟は調整不足から来るバグが目立つ。ゲージが無い時に「飛賊奥義影向」を入力するとガード不能になるバグが存在し、これによる永久連続技が可能。その他の技性能も高く、実際ストライカーの有無問わず操作キャラとして見た場合は強キャラの1人であった。 同じく新キャラクターのヴァネッサも永久連続技は理論上可能だが、こちらは猶予0F(1F=1/60秒のズレなく完璧のタイミングで入力し続けていかないと成立しない)のため実戦投入は実質的に不可能である。 もしもそれができたらそのプレイヤーは精密機械と揶揄されて賞賛されるだろう。 なお、ストライカーの有無問わず操作キャラの中で強キャラとされているのは弱キャラだった前作から劇的に強化された主人公のK’、前述でも記したように有用なバグが目立ち基本性能も高い麟、ストライカーでなくとも当て身を始め操作キャラとしても一流であったセス、次点で後述するがアーマーモードと相性抜群のチャン、舞、キング、京あたりが強いとされる。 逆に前作で永久ガード・コンボ有りで猛威を振るった拳崇が、永久ができなくなったのはもちろんなのだが、それ以外の技にはあまり強みがなかったのとそのような技が大して強化されないままであったせいで、一気に弱キャラに転落してしまっている。 アーマーモード・カウンターモード アーマーモードは凶悪だが、おかげで立ち回りでストライカーにも対抗できる。用途の違うカウンターモード共々、即死コンボに持ち込むことが可能。 初心者でも比較的容易に大ダメージ~即死に持ち込めるストライカーばかりが目を引くが、用途とコンボがわかっていればこれらも比肩しうるほどに強力。 一例を挙げるとすれば、チャン・コーハンがアーマーモード中にパンチボタンを連打するだけで一部のキャラはなす術もなく詰むことがある。このような「デブに鉄球鬼に金棒」とも言える強力な組み合わせに前述のストライカーも組み合わせれば、即死コンボの構築も比較的楽。 とはいえ先述のとおり本作で猛威を振るうストライカーに対するほぼ唯一といっていい共通の対抗手段であり、「パワーゲージをMAXまで溜めないと発動できない上に、終了後は数秒間オーバーヒートでゲージを溜められない」「アーマーモードは一部の技が多段ヒットしてしまい通常よりも多く体力を減らされる」といった弱点もあるため、絵面や喰らっていて不快など賛否は大きくあれど、一概にバランスを崩しているだけの要素とも言い難い。 バグ・不具合 KOFはバグが多い事でも有名なシリーズだが、今回も例外に漏れず、やはりバグが多い。 殊更にストライカー関係で起こるバグが多く、有用なものから、ゲームにリセットがかかる危険なものまで様々なものが存在している。 そもそもストライカージョーがダウン中の相手を拾いなおせる時点でバグな気がするが。 有名なのはラスボスの『ゼロ』の技である、地面から影を飛ばし、当たるとその後に4ヒットする打撃技に移行する「疾火煌陣」と、ストライカー庵の闇払いが相殺した時に起こるもの。このバグが発声すると、ゼロ側はそのまま攻撃を続けるが、この状態の攻撃を喰らってもプレイヤー側のキャラは何故かのけぞらずに行動ができる(ダメージは喰らう)。この時に必殺技や超必殺技を出すと、キャラによってさまざまな現象が発生する。 驚くべきはラルフの場合で、この状態で超必殺技のバリバリバルカンパンチを出すと、既定のヒット数になってもフィニッシュモーションにならず、 ゼロが死ぬまでラルフが延々と殴り続ける という、北斗神拳ばりの乱打を見ることができる。 + 参考動画 ラルフの無限殴りは27 26あたりから。なお、4 14あたりからはゲームリセットバグのシーンあり。 ストーリー展開がかなりややこしい。 そしてその複雑な内部事情がACゲーム特有のテンポの早い描写・一部の断片が複数のチームをまたいで語られるため、小説版や補足情報なしでしっかり把握できたプレイヤーは皆無と言っても良いだろう。当時多くの人には「最後にチョビヒゲのおっさんが出てきて倒したらなんか勝手に死んだ」程度にしか理解されなかった。しかしこれでも続編の『2001』よりは整合性が取れている方だったが…。 + ネタバレ注意。本作ストーリーを簡単に説明すると以下の通りになる 悪の組織「ネスツ」に反旗を翻した元戦闘員たち(主人公であるK ら)を捕獲してネスツ対策に利用するため、「リング機関」という組織が(ネスツ主催と見せかけて)KOFを開催。 …が、ラスボスであるネスツ幹部・ゼロ(*33)が司令官のリングを暗殺して入れ替わり、リング機関を掌握すると共に対ネスツの切り札として用意された衛星兵器「ゼロ・キャノン」を奪取する。ここまではネスツの狙い通りだった…。 しかしゼロ本人はネスツへの反乱を企んでおり、リングのクローン人間にリング機関の掌握を継続させて自らは裏に回り、KOFを通じて格闘家達から生み出されたエネルギーをゼロ・キャノンに転送することでネスツ乗っ取りの武器にしようとした。 ゼロが優勝チームに倒された後、リングとすり替わっていたクローンはハイデルンによって排除されたが、 時を同じくしてネスツ内偵のクーラ・ダイアモンドたちによってゼロは粛清され、ゼロキャノンは街一つをゼロもろとも消し飛ばした後にクーラに破壊される。 それはリング機関と手を組んでネスツを追い詰めようとしたハイデルンたちにとっては完全敗北…ネスツへの対抗力と街1つ、そしてプライドを失ったことを意味した。 …全然簡単じゃない。 この内容の複雑さについては旧SNKもしっかり把握していた節がある。そのためかコメディ寄りのチームのEDは今までになく酷く、投げやりとしか思えないものになっている。 韓国チームのEDはチャンとチョイがゼロ・キャノンのビームを喰らい、そのショックで互いの人格が入れ替わってしまうもの。キムとジョンがゼロに戻し方を聞こうとするも、ゼロは黒焦げになって頭から地面に突き刺さっていた。なお、続編の『2001』ではストーリーで数行触れられた程度で元に戻っている。 いくらチャンとチョイがKOFシリーズ屈指の色物・悪役かつギャグ担当キャラクターとはいえ、この扱いはひどすぎる。 また、サイコソルジャーチームのEDは包に飽和しきった気を拳崇が受け止めるシーンがあるが、その時の絵が同性同士でキスしているようにしか見えない。包自体がショタキャラかつ一定の層を狙った外見のため、露骨だと批判もあった。 龍虎チームのEDはゼロ・キャノンの砲撃をキングが受けかけるも、タクマが覇王至高拳でビームをカット。直後、「極限流の世継ぎをキングが産むかもしれないから(*34)」と理由を聞かされたリョウとロバートがあきれて変顔という締め。 もっとも龍虎チームのEDは初代作品である『 94』の時点ですでにギャグ色の強いもの(*35)となっており、本作に限らずKOFシリーズ全体における問題点とも言える。一方で、タクマが街一つを消し飛ばす衛星兵器を相殺する程の実力者として描写されていることを評価する向きもある。このシーンは印象的だったためか、後の『2002UM』の裏タクマには実際にそのシーンを元ネタにしたMAX2が搭載されている。 極め付きはエディットチームのエンディングで、これはハイデルンが今回の事件の捜査、真相を探り仮説を立てるという、彼が語り部になっているような内容だが、彼の台詞が、当時の倒産寸前の旧SNKの社内事情を風刺したような内容にもなっている。 この風刺も込められた台詞は、約半年前に稼働開始した現時点の餓狼伝説シリーズの最終作『餓狼 MARK OF THE WOLVES』でも見られた(特にロックのエンディングが顕著)。 加えてクーラのエンディングも、どことなく倒産寸前の当時の旧SNKを風刺しているような傾向が見られる。内容は自分を危険に晒しててでも皆を守るために大気圏外にゼロキャノンを破壊しに行き、成功はしたもののこの時クーラを庇ってアンドロイドのキャンディーが大破してしまうというもので、話自体は切なく同時に(当時は出ないと絶望視されていたものの)続編への伏線にも実際なり、以降は時間をかけてまでこのキャンディーのパーツを集めて修復しているという設定が追加されるのだが、この庇って大破・時間かけて修復のくだりが当時の旧SNKの社内事情を風刺してもいると捉えられるような内容となってもいる。 総評 とにかくストライカーひとつで対戦バランスが完全に崩壊しており、格闘ゲームとしての評価は当然低い。 あまりにも永久連続技や即死連続技がありすぎるので最低限の攻守バランスも取れていないが、『 99』よりもシステムがコンボに繋がるそのわかりやすいゲーム性は今でも地味に愛好者は存在する。 実際、ストライカーシステムを用いたネスツ編ストーリー作の中では一番遊ばれた作品ではあった。 また、デモ演出やBGMではハード性能の限界を感じさせないセンスの良い作りが光っており、CPU戦の面白さや、ギリギリまで詰め込まれたストライカーによるファンサービスを評価する向きもある。 当時のSNKの状況を考慮すると、本作は最初からバランス度外視で作られているとも言えるため、色んな意味で世紀末な対戦でワイワイしたり、あるいはストライカーを封印して真剣勝負したり…と、アクションゲームとしての楽しみ方は十分に広い作品である。 兎にも角にも本作が、かつてアーケードで一時代を築いた旧SNKの最後の格闘ゲームとしての色を示した事に変わりはないだろう。 移植 ネオジオ版以外は全て旧SNK倒産後に版権を受け継いだ後継会社であるプレイモア(後のSNKプレイモア、現在のSNK(新社、2代目))からの発売である。 家庭用ネオジオ版(2000年12月21日発売、39900円) MVS(アーケード版ネオジオ)の完全互換機であるため、当然ながら移植度は完璧。 これまでの家庭用と同様、アーケード版では基板設定変更でしか遊べないシングルモード(1キャラクター&1ストライカーの複数ラウンド制)も自由に遊べる。 ドリームキャスト版(2002年8月8日発売、6090円) プレイモアが新規で発売した他社ハード向けソフトの第一弾。追加要素として「パズルモード」が搭載。 ジグソーパズルのゲームであり、バラバラのピースを、移動させたりLRトリガーで回転させたりして絵を完成させる。完成した絵はギャラリーモードで観覧できる他、これによって解禁できる要素がある。 アナザーストライカーに対応した過去SNK作品のステージが登場する。固有BGMの過去ステージは上記のパズルモードをクリアすることで解禁される。 プラクティスモード限定でゼロが使用可能。 バックステップ中に空中必殺技を出せない等の謎の仕様変更があり、AC版の再現という点では劣る箇所がある。 プレイステーション2版(2002年11月28日発売、7140円) シリーズ初のPS2版であり、プレイモアのPS2参入第一弾ソフト。追加の隠し要素としてアーケード版KOF2000に登場していない過去のKOFキャラクター(アメリカンスポーツチームやオロチ等)などがマニアックストライカーとして追加されている。 これらの追加マニアックストライカーは、パーティーモードの勝ち抜き数に応じて解禁されていく。 PS2に移行されたことで、PS1時代の劣悪なロード時間は改善された。全く無い訳では無いが、ロード画面に移行しなければいけない程度のものは無い。 一定条件を満たすことで歴代のオープニングが鑑賞できる。 ゼロが対戦モードとプラクティス限定で使用可能。ただし前提として上記の追加マニアックストライカーを全て解禁する必要がある。 プレイステーション2版『THE KING OF FIGHTERS -ネスツ編-』(2007年4月19日発売、5,040円) 『KOF 99』『KOF2000』『KOF2001』を1本に収録したコンピレーション版。 ネオジオ版・ドリームキャスト版が両方収録されており、アレンジサウンドトラックス収録の高音質BGMも選択可能。現在プレイするならかなりお得だが、移植度はあまり高いとは言えないのでその点は注意。 DC版ベースのため、過去作ステージやパズルモードは収録されているものの、PS2単体版に登場した追加マニアックストライカーは使用できない点は注意。バックステップ絡みの変更もそのまま。 DC版側では、新たにゼロが全モードで使用可能になっている(戦闘専用でストライカーとしての選択は不可)。 また、『ネスツ編』のDC移植版共通事項として音質がやや低下しており、ボイスも一部低くなっているなど不評点がある。単体移植版と比較すると本作に関しては一長一短といったところである。 一方でネオジオモードは完全にほぼそのままベタ移植のオマケ収録であり、キーコンフィグすらできない。 続編 THE KING OF FIGHTERS 2001(2001年11月稼動) 旧SNKの倒産によって誰もがKOFは終わったと思っていた中、突如登場したまさかの続編。旧SNKの子会社であったプレイモア(*36)を中心にブレッツァソフト、サン・アミューズメント、ノイズファクトリーが韓国のゲームパブリッシャー、イオリスの資金提供を受けて開発したもの。 その開発環境の厳しさ、開発期間の極端な短さから無理矢理ひねり出されたような作品であるため、黒歴史とも言えるような出来だが、とりあえずでもKOFを存続させ、現在に繋いだことは評価されている。 THE KING OF FIGHTERS EX シリーズ 前作と本作のシステムをベースとして作られたゲームボーイアドバンス版。当時の携帯機の格闘ゲームとしては珍しく、AC版とほぼ同じ頭身でキャラクターが描かれている。 こちらはシステムのベース自体は『2000』だが、ストーリーそのものは「オロチ編とネスツ編をつなぐ」という触れ込みでオロチ編の要素が色濃い。 1作目の出来は問題点しかないレベルだが、2作目は携帯機の格闘ゲームとしては高評価。 余談 ラスボスのゼロは『北斗の拳』に出てくる羅将ハンほぼそのままの見た目。 使う技の名前も全く同じ名前である(技自体は全然違うものだが)。 本作の翌年に旧SNKは倒産した(*37)…とはいえ(しばしば勘違いされるが)、旧SNKの経営状況が悪化したのは本作などのアーケードゲームの出来云々や、キャラクター商法への傾倒が直接的な原因という訳ではない(*38)。 主な原因として挙げられるのは無謀な多角経営(特に莫大な資金が投入されたお台場の遊園地「ネオジオワールド」の大失敗)である(*39)。 また、家庭用、アーケード共に、ネオジオに取って代わる新規/後継ハードも幾つか投入したものの、ネオジオポケットやネオジオCD(Z)みたいに一定の固定ファンから評価を得た機種も確かにあったのだが、難点が目立ったのも確かで(*40)、同世代のライバル機に太刀打ちできたとはお世辞にも言えない結果だった。 極め付きはアーケードにおいてMVS(アーケード版ネオジオ)の後継基板になるはずだったハイパーネオジオ64の失敗で、こちらは本来はMVSの正統進化機種として2Dに特化したスペックで3Dグラフィックはあくまでオマケ程度の性能だったものの、何故か上部が3D向けとして売り出すことを決行したため、結果的に当時のライバル社が出していた3Dの格闘ゲーム(*41)と比べるとグラフィックが明らかに劣っており、さらにアーケード基板としてはハード/ソフト共に低価格であったMVSとは対照的にかなりの高価であった欠点ものし掛かり、一部マニアからの支持はあったものの、お世辞にもヒットしたとは言えない結果に終わってしまった。 タイトルを略して『KOF 2000』と書かれる事もあるがこれは間違い。 「 」は年号の上2桁を略しているため、入れるなら『KOF 00』となる 本作では前作から引き続き、キャラの台詞や技名に当時流行していた某音楽ゲームブランドの影響が見受けられている。 ストライカーすらも、「アナザーからコマンド入力でマニアックが選べる」という要素は名称まで某ダンスゲームそのままである。 うち、チャンの勝利台詞にはそれら機種の中でも特に人気のあった某シンガーの曲の歌詞が引用されているのだが、その某氏のその後やKOFシリーズのその後を踏まえると、現在は笑うに笑えないネタになってしまっている感は否めない。 今作で初登場しセスと共に紅丸チームで凄まじい存在感を見せたキャラである麟を演じた黒田崇矢氏はこの年に声優としてのキャリアを始めたとの事。氏は後に『龍が如く』シリーズで主人公を務めるなど一躍人気声優の一人となった。
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THE KING OF FIGHTERS XIV 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ふぉーてぃーん】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 プレイステーション4Windows(Steam)アーケード(NESICAxLive2) 発売元 SNK 開発元 SNK【Win】Abstraction Games 発売日 【PS4】2016年8月25日【Win】2017年6月16日【AC】2017年6月29日 レーティング CERO C(15才以上対象) 判定 良作 THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 ゲームシステム 登場キャラクター 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 その後の展開 概要 前作(『KOF XIII』)から実に6年ぶりの『KOF』シリーズ第14作。 前作までと異なり、業務用ではなく家庭用が初出ということや、キャラクターモデルが『KOF MAXIMUM IMPACT』シリーズ以来のフル3D化となり、且つ奥行移動などがない所謂「2.5D格闘」となった点が大きく異なっている。 後発となったAC版は現在タイトーがACで展開しているダウンロードコンテンツシステムである「NESICAxLive2(*1)」のサービス開始と同日に稼働が開始された。 ストーリーは新局面を迎え、中国チームの新キャラクターである「シュンエイ」を中心とした物語が展開されるものの、現時点ではこれまでのような「〇〇編」という名称は決まっていない。 ゲームシステム 基本システムは従来と同様。『XIII』までに培ってきた「弱強のパンチ・キック攻撃」「ふっとばし攻撃」「三種類の特殊ジャンプ」「走るタイプのダッシュ・緊急回避により接近がしやすくスピーディーな攻防」が核となる面白さは本作にも引き継がれている。 ゲージシステムも過去作品のものに近いが、以下のような変更点がある。 『 98』『2002』等と同様にパワーゲージ1本を消費して一定時間パワーアップする「MAXモード」が発動可能。ただし効果内容が従来のような攻撃力アップではなく、「残り時間を消費してEX必殺技が使用可能」になるというものになっている。 『XIII』から登場した、必殺技の強化版である「EX必殺技」だが、本作では通常状態からEX必殺技を出すことはできず、このモードの専用ゲージ(制限時間)の約25%を消費することで初めて発動できるようになる。 EX必殺技は今作からはスーパーキャンセルは不可になったが(ただし一部は除く)全体的に当てた後に追撃可能なものが多く、本作における連続技の主なコンボパーツとなる。 通常技・特殊技をキャンセルしてパワーMAXを発動する「クイックMAXモード」も存在。クイック発動した場合は通常より効果時間が半減する。 「超必殺技」はゲージ1本を消費する通常のものに加え、ボタン同時押しで2本を消費することで超必殺技が強化される「MAX超必殺技」と、ゲージ3本を消費してより高威力かつ派手な演出となる「CLIMAX超必殺技」が存在する。 なお、MAXモード中はボタンを同時押ししなくてもゲージ1本で「MAX超必殺技」が、そしてゲージ2本で「CLIMAX超必殺技」が使用できるようになるが、いずれも使った時点でMAXモードが終了する。 必殺技から超必殺技に繋げる「スーパーキャンセル」や、超必殺技からMAX超必殺技に繋げる「アドバンスキャンセル」に加え、さらに超必殺技からCLIMAX超必殺技に繋げる「クライマックスキャンセル」が存在。同じ超必殺技でキャンセルすることはできない。 2010年代の格闘ゲームの風潮に沿って、近距離で立ち状態からの弱パンチボタン連打で自動的に必殺技・超必殺技まで繋げる「 ラッシュ 」というシステムも用意されている。 地上ふっとばし攻撃を当てた時の吹き飛びが変化しており、地上の相手に当てると相手を相手側の画面端まで吹き飛ばし、端に到達すると膝から崩れ落ちるようにダウンさせるようになった。 膝崩れダウン時には追撃可能になっており、画面端近くで当てた時のリターンが上がっている。 細かい所では「立ちしゃがみガード切り替えでガードポーズをとり続ける」仕様、通称屈伸が削除され、投げが決まりやすくなった。 登場キャラクター + ... ○は本編シリーズ初登場キャラ(うち太字は完全新キャラ)、●はXI以前からの復活キャラ(外伝作品は除外) 中国チーム ○シュンエイ、●タン・フー・ルー(*2)、○明天君 日本チーム 草薙京、二階堂紅丸、大門五郎 八神チーム 八神庵、マチュア、バイス K チーム K 、クーラ・ダイアモンド、マキシマ 餓狼伝説チーム テリー・ボガード、アンディ・ボガード、ジョー・ヒガシ 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ、ロバート・ガルシア、ユリ・サカザキ 怒チーム ラルフ、クラーク、レオナ サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ、椎拳崇、鎮元斎 女性格闘家チーム 不知火舞、キング、○アリス 異世界チーム ○ナコルル(*3)、○ムイムイ、○ラブハート キムチーム キム、○ガンイル、○ルオン 悪人チーム ○ザナドゥ、●チャン・コーハン、●チョイ・ボンゲ オフィシャル招待チーム ○シルヴィ・ポーラ・ポーラ、○ククリ、○ミアン 南米チーム ○ネルソン、○サリナ、○バンデラス・ハットリ メキシコチーム ●ラモン、●アンヘル、●キング・オブ・ダイナソー(*4) サウスタウンチーム ●ギース・ハワード、ビリー・カーン、○ハイン ボスキャラ ○アントノフ、○バース Ver2.00追加キャラ ●ウィップ、●山崎竜二、●ヴァネッサ、○ロック・ハワード(*5) Ver3.00追加キャラ ●ハイデルン、●オズワルド、○ナジュド、●ブルー・マリー 評価点 操作性などは従来のKOFほぼそのまま 2.5Dグラフィックの格闘ゲームがスタンダードになってきた中、本作も3Dグラフィックでありながら2D時代の操作感や駆け引きを損なっておらず、ラッシュなど初心者向けのシステムが備わっている点を除けば従来通りのKOFを楽しむことができる。 パワーMAXとEX必殺技によるコンボは旧作の「どこでもキャンセル」「ドライブキャンセル」に相当する連続技システムだが、必殺技コマンド入力を連続でしなければならなかった従来のものに比べると操作に比較的ゆとりがあり、負担がかかりにくくなっている。 3Dグラフィックによる演出強化 一部の必殺技ヒット時、またはMAX超必殺技やCLIMAX超必殺のカットインやヒット時の演出などでアングルが変わったりと、ドット時代では不可能だった演出が3Dの利点により施されるようになった。 試合部分以外でも中間デモムービーなども高画質でクオリティの高いCGで演出されるようになった。 ver2.0からKO時のスロー演出を廃止し、若干アングルが変化するストップ演出に変更されるようになり、メリハリが強化。 『KOF』の売りである多くの登場キャラクター 発売時点での登場キャラは16チーム×3人とボスキャラ2人で50人。これに加えて発売後に4人のキャラの追加が2回行われ、合計58人。 『KOF』の特徴である「使用可能キャラの多さ」を新生一作目にしてここまでの規模で実現したことは驚異的である。 新キャラも、KOFシリーズ当初にあった「各国代表戦」や「SNKキャラのオールスター」というコンセプトに沿っており、南米チームのような従来作になかった国際色豊かな新キャラや、KOF派生作である『デイズ オブ メモリーズ』初登場のキャラ、2000年代から参入していたパチスロ機からの登場キャラ(アリス、ムイムイ、ラブハート)も見られる。 既存キャラにおいても、まさかのチョイスや大胆なチーム再編成を施して参戦させているものもおり、新チーム内でこれまでとは違う新たな一面を見せてくれるキャラもいる。 特に今まで派生作品での参戦にとどまっていた『サムライスピリッツ』シリーズから「ナコルル」が参戦したことは大きな話題にもなった。 DLCによる追加キャラも人気どころを抑えており、シリーズファンからすれば「分かっている」と十分に納得いく選出である。 特に『XI』のみの登場ながら根強い人気のあったオズワルドの参戦は賞賛を得ている。 キャラ同士の掛け合いも多く、因縁の闘いを演出するものもあればおどけた会話も豊富であり、またシリーズファンであればニヤリとするものも。 継続的なアップデート 2016年夏の発売以降、2年以上にわたってキャラの追加やバランス調整、各種不具合の改善が継続的に行われている。 発売当初はオンライン対戦の快適性にやや難があったが、これもアップデートで若干は改善している。 後発であるWin版やAC版も、PS4版に合わせる形でほぼ並行してアップデートが行われている。 BGM OP曲の「Follow Me」とスタッフロール曲の「Burning On」がスティーブン・マクネア氏(*6)によるヴォーカル入りという、KOFシリーズとしては新たな試みを行っており、新シリーズを飾るにふさわしいという評価を得ている。 本作から、特定キャラの組合わせでの対戦になった場合、「専用の因縁対決BGMに切り替わる」という仕様が導入され、その曲もそのキャラクターたちにちなんだ過去作品の曲のアレンジという「(原曲を)知っている人にはピンとくる」ものになっている(*7)。 一例を挙げると、京対庵戦は「New Order」(*8)の、テリー対ギース戦は「ギースにしょうゆ」の、リョウ対ギース戦は「ギースにキッス -Cyber Edit-」の、リョウ対キング戦なら「みちゃいやっ」のアレンジ…といった内容。 他にもラルフ対クラーク戦の場合は『怒』のメインBGMのアレンジ、変わったところではアンディ対タン・フー・ルー戦が『餓狼伝説2』及び『餓狼伝説スペシャル』のイタリアステージの曲「パスタ」のアレンジだったりする(*9)。 賛否両論点 声優の変更 紅丸/チョイやアテナ、ギースなど旧作から変更のないキャラクターもいる一方で、京・庵・テリーなどをはじめとした多くのキャラクターは声優が変更されている。 イメージを損なうような演技はないが、やはり今までの声優で確立されたキャラクターのイメージとの違いが生じるのは避けられない。特に京は声優に加えて衣装と髪型も変更と、グラフィックも含めた急激な変化が一気に起こったため、初期は困惑の声が大きかった。 サウンドディレクターの麻中秀樹氏によれば「今作での大幅なキャスト変更については様々な事情もあるが、キャラの人数が多いことに加え、各キャラ1人あたりの台詞の量も大幅に増えているため、1人で複数のキャラを演じることは(演者の負担も大きいので)原則避ける方針でのキャスティングになった」とのこと(*10)。 また、プロデューサーの小田泰之氏は「変更のあったキャラについてもゲームありきでそのイメージに近く、(基本的に)旧作のキャラのボイスに似ている人を選んだ」と述べている。 本作では対戦前の掛け合いや勝利メッセージ等がフルボイス化されているが、同様の仕様であった『KOF MAXIMUM IMPACT 2』では、舞台俳優やナレーターなど声優としての活動がメインではない人物が多かった従来のキャストについて「フルボイス化によって棒読み気味に聞こえたりと演技に違和感を覚える」という声もあったため、その点でも本作で専業声優メインのキャストに変更されたことには賛否の声がある。 少ないゲームモード アーケードゲーム同様、勝ち抜きで進む中間デモ付きのストーリーモード、オンライン対戦モード、トレーニングモードなど、遊べるのは格闘ゲームとしてはほぼ最低限のゲームモードのみとなっている。 前作にもあった、全キャラクターのコンボが学べるミッションモードの「トライアル」は全体的に難易度が低くなり、トライアル数も少なくなっている。 ただ、前作のトライアルの場合実用的なコンボが少なく、システムも相まって難易度が高すぎた面もあったので、最低限の基礎コンボを学ぶだけの初心者には大して問題ではなく、そもそもやりこみ勢であれば複雑なコンボはどうせトレーニングモードで研究する事が多いため、丁度いい配慮とも言える。 これをシングルプレイのボリューム不足と捉えるか、「そもそも使用キャラがここまで多いのだから全てのキャラを使おうとするだけで相当なボリュームである」と捉えるかは人それぞれと思われる。 DLCキャラクターに専用エンディングが無い 『 97』以降の過去作はエディット専用キャラクターがいる時は条件を満たせば専用のエンディングが見ることができたかつ今作のDLCキャラクターの一部は専用ステージ(*11)が用意されているのに、DLCキャラクターのエンディングが存在しないのは片手落ちとしか言いようがない。 まあ今作の既存チームのエンディングに姿を見せているウィップとヴァネッサとハイデルンとマリー、過去作で登場した山崎とオズワルドはある程度仕方ないが、今作が本編初参戦のロックと新規登場のナジュドに関しては非常に残念である。 なお次作である『XV』(後述)では、2023年9月時点でオズワルド以外はデフォルトチームのメンバーなどで再登場して正規にエンディングが用意されている。 変更された各種システム仕様 ジャンプの仕様 今作では初心者配慮またはオンラインのラグ対策のためか従来よりジャンプがふんわりしており、全体的にジャンプ攻撃が確認しやすくなった。 反面ジャンプの全体時間が間延びし、旧作と比べやや操作感に変化がある(*12)。 ステージの広さが『XIII』同様16 9であり、それに加えバックステップや緊急回避による逃げが行いやすくなっている。 ジャンプ攻撃自体もめくり性能が低下していたり、そもそもめくり性能の削除が多かったり、低い姿勢の攻撃で回避されやすくなっている。 アップデートでのキャラバランス調整によりある程度変化があるものの、今作ではダッシュしてすぐにガードが行えるようになり、なおかつ(キャラクターにもよるが)根本的にジャンプ性能が抑えられ、攻めの基点である飛び込みの脅威が減っていると言える。 そのため今作では(下記のクイック発動も付け加えると)良くも悪くもジリジリとした間合い調整が重要になり、従来に比べ地味な試合展開が発生する場合がある。 パワーゲージ関連の仕様 前作ではゲージ1本消費で発動する仕様だった「EX必殺技」だが、今作では「MAXモードの専用ゲージ(残り時間)を約25%消費」という仕様に変更。つまりゲージ1本で何度も発動できるようになったため、使用するには発動こそ介さなければならないがコストが軽くなり、手軽に連発がしやすくなった。 特にクイックでない直接発動を行った場合、すぐEX必殺技を行えば1回の発動で最大で約6連続も行えてしまう。発動に消費するパワーゲージ量は1本のため、最大の5本ストック状態であれば約30連続行えなくもない。 1番手であればゲージの最大数が減少するが、その場合でも直接発動から即使用した場合約4連続行うことが可能。 こうした連発は実戦でも籠城や押し付けなどの戦術として組み込めないこともなく、言ってしまえば見映えの悪い戦い方が行えてしまう。初期バージョンのマチュアはまさにこの戦法が非常に強力なキャラクターだった。 ただし現在は下方修正済みで、そもそも「一度発動を介さないとEX必殺技が使用できない」という点や、また今回のEX必殺技は前作ほど強力なものが少ない事もあり、現在は「パワーゲージの多くを直接発動~EX必殺技に回す」という戦い方はほぼ無くなっている。 反面EX必殺技がMAXモード時限定となったため、単に前作と比べ窮屈だという指摘もある。EX必殺技を使用するには必ず発動を行なければならないため、EX必殺技での意表をついた崩しなどが発動のワンクッションのせいで成立しづらかったり、MAXモードを発動した側は性能の良いEX必殺技を所持している場合連発したり、またその逆に発動された側はMAXゲージが尽きるまでは下手に手を出さず逃げ回ったりなどどちらも動き方が強制されてしまう部分が生じる。 とは言えそういった仕様込みでバランス調整が行われている面もあり通常モード時では厳しいキャラにとってはキャラ差を埋められたり、キャラ相性を解消する役割もあり、実際にこの仕様が有利に働いているキャラもおり、一概に良し悪しを決められないところでもある。 今作のクイック発動にあたる「クイックMAXモード」は、通常攻撃や特殊技をキャンセルし、隙消しや更にコンボを伸ばす…という使い道こそ以前と同じだが、今作もXIII同様に、キャンセル発動時は自動でダッシュを行ってくれるため、キャンセル時の複雑な操作が必要なく、コマンドの暴発も起こりにくくなり、初心者でも簡単に発動コンボを行いやすくなった。2002の仕込みダッシュ(*13)やずらし発動(*14)、XIIIのディレイオーバードライブ発動近C漏れ(*15)等、今までネックだった部分が解消されたため更に初心者にも優しくなっているし、もちろん熟練者でも頻繁にコマンドミスが起こりうる場面だったので、喜びの声もある。 一方で、ヒットストップというかゲームテンポ自体がXIII以前より遅くなった事から、小攻撃ヒット確認からMAX発動コンボまでを繋ぎやすくなり、簡単になりすぎてテクニックを磨く楽しみが減っているといった指摘や、少々便利すぎるため「スーパーキャンセルのみ可能な通常攻撃」や「特殊技のスーパーキャンセル」といったゲージ行動が単にMAXキャンセルコンボで済ませられてしまい形骸化してしまったという意見も見られる。このあたりはシステムの簡略化により生じる表裏一体の面と言える。 攻守どちらにも逆転性があるものの、前作同様ガードなどで溜まるパワーゲージ増加量が多めなため攻撃よりもガードでゲージを溜めたり、「ゲージに余裕があれば攻めずに安全圏で待って相手の隙を窺い、牽制だけ振って引っかかったらクイック発動狙い」と消極的な戦い方に発展もしやすい。 また旧作ではスーパーキャンセルで超必殺技を発動する場合はゲージを余分に消費させられていたが、今作ではそれが無くなっているためゲージを消費する行動が行いやすい。パワーゲージさえあれば逆転のチャンスが増えているが、各種パワーゲージ消費量の低コスト化により上記のクイック発動が頻発しやすくなり超必殺技キャンセルコンボが大味化、事故率も高まっているとも言える。 変わり映えがしないシステム群 新章になるとシステム自体も様変わりしてた『KOF』シリーズだったが、前作『XIII』のシステムを再構成し調整されたものがほとんどで、目新しいシステムはほぼないに等しい。グラフィックが3Dになった以外は良くも悪くもいつも通り。 新鮮味が薄いとも言われているが、今まで通りの『KOF』という事で旧作ファンが復帰しやすかったり、長年使われた基本システムだけに遊びやすく考慮されているので、これはこれで正解だろう。かつてマンネリ打破の為に新システムとして「99」においてストライカーシステムを導入したものの、非常に賛否両論の雨嵐であり、『2003』『XI』のマルチシフトシステムも長続きしなかった事を考えると、余計なものを入れなかった判断は正しかったといえるか。 問題点 質に難のあるグラフィック リアル調のキャラクターグラフィックだが、全体的にモデリングがやや簡素であり、一世代前のグラフィックと酷評されていた。キャラの多さと表裏一体の問題とも言える。 後にアップデートでライティングなどが改善され、全体的に当初より良くなっている。 ゲームエンジンは開発当初の段階でUnreal Engineを使うことも検討していたが、開発力とコストの兼ね合い、そして3Dグラフィックのノウハウを蓄積する必要があるという理由により見送りとなり、自社製のエンジンを使うことになった(*16)。 ライティングやシェーダーが弱いことは開発側も認めているため、発売後のアップデートで改善はしているものの、まだ発展途上にあると言えよう。 本作(と派生作品である『SNKヒロインズ』)の開発である程度のノウハウが蓄積されたのか2019年6月に発売された『SAMURAI SPIRITS』ではUnreal Engine 4を採用している。 グラフィック自体はやや簡素なものの、モーション自体はどのキャラもかなり滑らかではある。 が、レギュラーキャラの攻撃モーションに関してはやや不自然に感じやすい部分も見受けられたり、滑らかな反面動作がやや冗長気味になり判定がわかりづらくなったりする部分も生じる。 家庭用オンラインモードの仕様 ランクマッチの仕様 「検索」と「待ち受け」の2種類が存在するが前作『XIII』のランクマッチの仕様から変わっておらず、前者が1P・後者が2Pと固定されている仕様のためか、「検索」では「待ち受け」の相手しかヒットしない。逆のパターンも同様で、純粋に不便。 「待ち受け」もトレーニングモードで待ち受けが可能なものの、オンラインモード時でのトレーニングモードでのみでしか待ち受けが行えず、通常メニューのトレーニングモードからはオンライン待ち受けは行えない。 フリーマッチの連戦の仕様 フリーマッチはいわゆるプレイヤーマッチ。多人数対戦部屋に当たるもので、対戦方式に「勝ち抜き」「勝ち抜け」「連戦」の3つの方式が存在する。 「連戦」方式の場合、その名のとおり試合が終了しても同じ対戦相手と間を置かず即座に再戦可能だが、部屋を建てたホストが部屋を解散しない限り両者が合意すれば無限に再戦可能となっているため、下手をすれば2人だけで永遠に部屋を占有する事態が発生してしまう。この方式に限り観戦機能も無いため、こうなってしまうと部屋で待機しているメンバーはどうしようもない。なおかつトレーニング待ち受けがフリーマッチには存在しないため待機中は待ちぼうけ状態になり、対戦相手が来るまで時間つぶしなどもできない。 本当に即座に再戦が始まるため部屋の状況も見られず、試合中のプレイヤーに周りの様子を伝えるチャット機能なども無いため、連戦中のプレイヤーにとっても不便なところである。 この辺りの問題も含め、「10戦で終了」や「10本先取で終了」など細かく対戦数が設定できる機能、または『SAMURAI SPIRITS』に搭載されている、待機しているプレイヤーがいた場合、試合終了後ロビー画面に戻され連戦が一旦止まる同様の仕様が欲しかったと言う意見もある。 なお先述にあるようにホストが部屋を解散すると消滅してしまうので他のプレイヤーは試合終了後に強制的に追い出される、また最悪の場合試合途中で突然終了してしまうことも起こり、残っている他のプレイヤーにホストを引き継がせるシステム又はホストがロビーチャットの定型文以外で部屋解散の予告を全員に知らせるシステムがほしいという意見もある。 パーティーマッチの仕様 KOFは通常一人のプレイヤーが3キャラをまとめて操作するが、このモードに限り1プレイヤーが1キャラずつ担当する。今作独自のオンライン対戦方式である。 KOFは3キャラ1チーム同士での対戦なので計6キャラ登場し、パーティーモードの対戦を行うには計6人が集まる必要がある。そのため始めるまでのハードルが高い。 それだけならまだしも、パーティーモードでのトロフィー(or実績)が存在し、1回だけならともかく最大100回対戦を行わないと取得できないものまで。 フレンドで確保できるプレイヤーであれば比較的容易だが、そうでないプレイヤーが解除するにはハードルが高すぎるため、部屋名に「トロフィー(実績)取得部屋」と表記するなどの工夫が強いられる。それにしても多すぎると言える。 チームストーリーがゲーム内に未搭載 各チームのストーリーは公式サイトに掲載されており、ゲーム中では確認できない。その為、ゲームだけをプレイしていると、バックボーンがわからずに中間デモとEDだけシナリオが流れる事になってしまい、シナリオが良くわからない事態に陥ってしまう。 その中間デモも今回の物語の垣根に関わってる一部のチームにだけ専用デモがあるだけで、それ以外のチームはエディットチームと同じというなんとも寂しい状態になっている。 詳細なバックストーリーを確認できるのがゲーム誌や公式サイトといった外部媒体のみであるという点は、SNK作品(特にKOFシリーズ)ではいつもの事ではあるが、今となっては時代遅れとしか言えない。 総評 中国資本による新生SNKの始まりを象徴する新生『KOF』シリーズ、その初代作。 キャラとシステム両面におけるKOFの特徴を活かしつつ、シリーズ初期に立ち返ったような要素も多く見られる。 現状ではそれらの特徴との表裏一体の問題点も多いが、対戦格闘ゲームとしての出来は及第点以上。 発売後のサポートの手厚さも含め、SNKブランドを現在に売り出していく気合は確実に感じられる一本である。 余談 声優話いろいろ 本作以前よりKOF好きを公言して憚らなかった声優界屈指のガチ格闘ゲーマーにしてKOFのガチ勢である市来光弘氏は、アーケード版のシステムボイス担当として本作に参加している。 明天君の声優である劉セイラ氏は、中国人ながら日本で声優として活動している変わり種。本作のイベントへも積極的に参加している。 今作から3Dグラフィックになった理由は「『KOF XIII』での2Dグラフィックに高い評価をいただく機会は多いが、今後5年10年先を考えると今のままでは先はないだろうということと、現在の事情から見ても3Dグラフィックの表現方法や技術・ライブラリといったノウハウを蓄積していく方が未来はあるのではないかと開発スタッフが総意として決めたもの」とのこと(*17)。 旧SNK自身も3Dゲームに悪戦苦闘していた(*18)歴史があるため、非常に重みがある。また、2Dグラフィックのクオリティに拘りすぎて中身のクオリティがおざなりになってしまった『XII』での失敗を考えれば、英断だったといえよう。 本作のキャラクターデザインはSNKプレイモア時代から同シリーズのパッケージや広報イラストなどを何度か手がけてきた、おぐらえいすけ氏が初のメインデザイナーを務めている(*19)。 DLCキャラクターのナジュドと彼女の専用ステージは、2017年9月よりSNKとサウジアラビアの「マンガ・プロダクションズ」が共同で中東地域の若者向けにSNSを通じて行った『KOF XIV』のデザインコンペで受賞し採用されたものとなっている。 本作の発売から約1年後、バンダイナムコの『鉄拳』家庭用作品『鉄拳7』へギース・ハワードがゲスト参戦している。 出身元である『餓狼伝説』シリーズからの参戦扱いだが、パワーゲージの概念やパワーMAX周りのシステムなど、本作の要素が盛り込まれたキャラクター性能となっている。 AC版では2019年2月13日稼働の『鉄拳7 FATED RETRIBUTION ROUND 2』で追加された。 後に本作に出演した女性キャラクターの後日談を描いた派生作品『SNKヒロインズ -TagTeamFrenzy-』が発売されている。 シリーズ久々のコミカライズが2018年1月から月刊少年シリウスとマガジンポケットにて連載されていた(*20)。タイトルは「THE KING OF FIGHTERS -A New Beginning-」(あずま京太郎:著)。2020年8月10日の配信を以て完結している(*21)。 また、上記とは別にコミッククリアにて「THE KING OF FIGHTERS XIV ORIGINAL COMIC」(華小二:著)がWeb連載されていたが3ヶ月ほどで連載終了。尚、単行本化はされていない。こちらは本作の中国チームとサイコソルジャーチームの対戦が主軸の話となっている。 PC版とAC版リリース後の2017年8月3日~2018年1月8日にかけて、中国のiDragons StudioとマレーシアのAnimonsta Studios製作によるCGアニメ「The King Of Fighters:Destiny」が主要動画サイトにて配信された(*22)。 全24話構成。ストーリーは『 94』~『 96』を元に構築されており、特定キャラのサイドストーリーを挟むなどオリジナル要素もある。 英語字幕だが音声は日本語で、各キャラの声優は一部を除き本作のキャストが中心となっている(*23)。 DLCにて復活したキャラクターは、かつてのテーマソングのアレンジ版が使われているが、ロックのみ完全新曲が投入された。 というのもかつてのテーマソングには盗作の疑惑が指摘されている為致し方なしか(*24)。 ナコルルを始めとしたサムスピ勢に関して、今までは「世界観が違うから出さない」という話となっていたが、本作のインタビューの中で「そういう事にしていた」という事が発覚。 今までの『KOF』シリーズは代々『 94』で作られたゲームエンジンをベースにしていたのだが、これがサムスピ特有の武器やママハハといった大きなスプライトに対応していなかったため、技術的にも出せなかった…とのこと(*25)。 その後の展開 2022年2月17日に本作の流れを汲んだシリーズナンバリングタイトル『THE KING OF FIGHTERS XV』がPS5/XSX/PS4/Winで発売された。 オロチ四天王(*26)やアッシュの再登場、『餓狼』シリーズのキャラクターやルガールの復活、『サムスピ』チームの初登場など新旧『SNK』シリーズ集大成を思わせる内容となっている。
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King of Fighters 13 XBOX360 使用 予選は3人or4人のリーグ戦で上位2人が予選通過。 予選1位は決勝TのWinners、2位はLosersに。 決勝T 8人でのトーナメント戦。 全ての試合は2試合先取で実施。 試合開始前に双方ともに使用キャラを審判に申告する。 試合中にポーズボタンを押した場合、押した側のプレイヤーが1試合取られた扱いとします。 ただし、勝ち確定状況の場合はそのまま続行します。 ステージはトレモステージの選択をお願いします。 ボタンチェック(キーコンフィグチェック)の時間を取ります。 キーコンフィグはOKです。連打キーは使用禁止です。 持参したコントローラーの使用は可能ですが、改造されているのは不可。 1P、2Pは試合前にじゃんけんで決定します。 進行を妨げるバグ以外は全てOKです。 試合開始前の呼びかけから3分以内に集まらなかった場合不戦敗とする。
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部隊名 KING_OF_FIGHTERS 歩兵戦力 ★☆☆☆☆ 裏方戦力 ★☆☆☆☆ 連携力 ★☆☆☆☆ 厨房度 ★☆☆☆☆ 総合力 ★☆☆☆☆ 所属国 ネツ 部隊長 Sweb 人数(Act.) 2~4 部隊特徴 部隊タグ KOF! 初心者育成 問題児 タグ 総評 短スカの多い部隊。上手い人もいるが、初心者クラスも多い。 名前 コメント
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ザ・キング・オブ・ファイターズ98 アルティメット・マッチ 機種:AC,PS2,XBLA 作曲者:麻中秀樹(新規曲)、SNK新世界楽曲雑技団(既存曲) 発売元:SNKプレイモア 発売年:2008 概要 『KOF98』のリメイク作。 キャラが大幅に追加されたが、BGMは全曲一新された『KOF2002UM』に比べ、こちらはデモシーンやスタッフロールなどの曲以外は全て過去作の使いまわしである。 ただ過去のKOFシリーズだけでなく、餓狼伝説シリーズ、龍虎の拳シリーズなどの曲も使われており、 サントラはSNKの格闘ゲームBGMのベスト盤という見方もできるので、ファンならば買ってお得かもしれない。 収録曲 ボールドで表記された曲は新規曲。 曲名 作・編曲者 補足 順位 Disc 1 CIPHER 08 タイトルデモ CIPHER 08 β タイトル画面 HTP 操作説明 The King Of Fighters 2 プレイヤーセレクト Next STAGE 次ステージ表示デモ ESAKA? 主人公チーム「京/紅丸/大門」 Victor s voice 勝利デモ クリキントン~ごまめギターVer~ 餓狼伝説チーム「テリー/アンディ/ジョー」 Art Of Fight 龍虎の拳チーム「リョウ/ロバート/ユリ」 Rumbling on the city 怒チーム「レオナ/ラルフ/クラーク」 震!戦慄のドラ サイコソルジャーチーム「アテナ/ケンスウ/チン」 Fairy 女性格闘チーム「ちづる/舞/キング」 チョイ・ボンゲ音頭 チョイ・ボンゲ登場 Soul Town キムチーム「キム/チャン/チョイ」 Bloody オロチチーム「社/シェルミー/クリス」 HCNC 乱入デモ 怒濤のセレクト 2 乱入プレイヤーセレクト 嵐のサキソフォン2 八神チーム「庵/バイス/マチュア」 IN SPITE OF ONE S AGE おやじチーム「ハイデルン/タクマ/柴舟」 SLUM No.5 アメリカンスポーツチーム「ヘビィ・D!/ラッキー/ブライアン」 C62 山崎竜二 Blue Mary s BLUES ブルー・マリー LONDON MARCH ビリー・カーン 嵐のサキソフォン 八神庵 Still Green 矢吹真吾 Footprint 中間デモ The ЯR ルガール・バーンシュタイン ESAKA 草薙京 ね! 94女性格闘家チーム「キング/不知火舞/ユリ」 ESAKA FOREVER 草薙京 VS 八神庵 COOL JAM 八神庵 VS 草薙京 Disc 2 ギースに肩こり ギース・ハワード レクイエム ニ短調 K.626 ディエス・イレ ヴォルフガング・クラウザー Dust man Mr.Big 血 血の暴走乱入デモ CONTROL CRISIS 暴走庵/暴走レオナ hythmic Hallucination 乾いた大地の社 FANATIC WALTZ 荒れ狂う稲光のシェルミー MAD FANTAZY 炎のさだめのクリス The Origin of Mind オロチ 忍の道 如月影二 ART OF FIGHT 藤堂香澄 FUNKY ESAKA 裏草薙京/紅丸/大門 One More コンティニュー CS コンティニューサービス CLUB-M ~青空にフルート~ 裏餓狼伝説チーム「裏テリー/裏アンディ/裏ジョー」 Get n Up 96女性格闘家チーム「キング/不知火舞/藤堂香澄」 龍虎の変 旧龍虎の拳チーム「リョウ/ロバート/タクマ」 かみきり虫 裏龍虎の拳チーム「裏リョウ/裏ロバート/裏ユリ」 DESERT REQUIEM 旧怒チーム「ラルフ/クラーク/ハイデルン」 ダイエット 裏ユリ C62-シロクニ- 裏山崎 Ranking ランキング表示 Kiss Me? 裏ブルーマリー N.D.R 裏ビリー まいまいきゅーん 裏舞 地を這うベース 裏キング ギースにしょうゆ 裏ギース サイコソルジャー REMIX 96 アテナ(単体) Big Boss ボス登場デモ TRASH HEAD 吹き荒ぶ風のゲーニッツ XXX オメガルガール Music of praise スタッフロール サウンドトラック THE KING OF FIGHTERS 98 ULTIMATE MATCH オリジナルサウンドトラック PV
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THE KING OF FIGHTERS '94 ストーリー 概要 参戦チーム 特徴・システムなど 評価点 問題点 その他 総評 その後の展開 余談 家庭用移植 THE KING OF FIGHTERS '94 RE-BOUT 概要(RE-BOUT) 変更点(RE-BOUT) 評価点(RE-BOUT) 賛否両論点(RE-BOUT) 問題点(RE-BOUT) 総評(RE-BOUT) THE KING OF FIGHTERS 94 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 アーケード(MVS) 発売・開発元 SNK 稼動開始日 1994年8月25日 レーティング CERO B(12歳以上対象) 配信 バーチャルコンソール【Wii】2007年11月6日/926ポイントアーケードアーカイブス【PS4】2016年10月27日/823円(税8%込)【Xbox One】2017年3月9日/823円(税8%込)【Switch】2017年3月16日/823円(税8%込) 判定 なし ポイント SNKオールスター対戦と3on3ドリームマッチの原点システムも同社作品の集大成とアレンジキャラ絵の濃さに時代を感じる KOFシリーズ関連作品リンク ストーリー 1994年。KING OF FIGHTERSを開催する。なお、今大会は特別ルールとして3人1組のチーム対戦形式にて取り行う。以上……。 [R] 世界中の格闘家たちに、またもやキング・オブ・ファイターズの招待状が届いた。 しかし差出人は不明。主催者はギースでもクラウザーでもないはずだ。それでは一体だれが? 疑惑と期待の中、格闘界歴戦のスーパースター達が、新たな対戦方式のもと、強力なチームを結成し始めた。 歴史に残る豪華な顔触れがどんな対戦を見せてくれるのか? 人々のボルテージがすでに最高潮に達している中、大会はついに開始の時を迎えようとしている…。 概要 これまでSNKがリリースした人気タイトルのプレイヤーキャラクターが集結し参戦するオールスター・ドリームマッチ対戦格闘ゲーム。 後に年代をまたいだ大型シリーズとなる、SNKを代表するゲームタイトルの記念すべき第1作目である。 参戦チーム 各国を代表する8つのチームにそれぞれメンバーが3人、計24人がプレイヤーキャラクターとなる。メンバーはチームごとに固定でエディット(組み替え)は無し。 チームと出典は以下の通り。(本シリーズのオリジナルキャラは太字) 日本最強チーム 日本 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 餓狼伝説チーム イタリア テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー・ヒガシ 龍虎の拳チーム メキシコ リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア タクマ・サカザキ 怒チーム ブラジル ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル サイコソルジャーチーム 中国 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 女性格闘家チーム イギリス 不知火舞 キング ユリ・サカザキ アメリカンスポーツチーム アメリカ ヘビィ・D! ラッキー・グローバー ブライアン・バトラー キムの教育してやるチーム 韓国 キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ 最終ボス ルガール・バーンシュタイン(CPU専用) この頃からすでにステージ背景やバックストーリーはチームごとに用意されていた。日本代表チーム、及び同チームの筆頭メンバー「草薙 京」が本シリーズ固有の主人公キャラとなる。主人公の京を始め、本作のオリジナルキャラもこの時点で既にそこそこの人数が存在していた。 ただし、本作の初期カーソルは1P側が『餓狼』チームに、2P側は『龍虎』チームに合っている。これに合わせてか、本作のあらすじも間接的に『餓狼伝説』シリーズの流れを汲んだものに近く、『THE KING OF FIGHTERS』(以下『KOF』)としてのストーリーの大局といったものは、まだはっきりとは存在していなかった。 なお、最終戦は本作オリジナルキャラ「ルガール・バーンシュタイン」との3vs1となるが、一人あたりの体力には相応の差がある。 特徴・システムなど 3on3の勝ち抜き戦(=3ラウンド先取)方式。相手を一人KOすると残り時間に比例し若干体力が回復する。相手チームを全員倒したら勝利。 設定により、それまでの格闘ゲームと同じ1on1方式にすることも可能。 ドローになった場合は両者とも負け扱いになり、次のメンバーが登場する。両チームの3人目がドローになった場合は再び3人目同士の対戦になり、そこでドローになると両チームともゲームオーバーになる。 システムもオールスター作品らしく、同社の「『餓狼伝説』+『龍虎の拳』」といった感じであり、これに細かいアレンジと肉付けを行っている。 1ライン制を採っているため、『餓狼』シリーズの「ライン移動」は「攻撃避け(A+B同時押しで、投げ以外に対し長時間全身無敵になる)(*1)」となり、「ライン飛ばし攻撃」は「ふっとばし攻撃(*2)」に変更された。 『餓狼伝説2』や『餓狼伝説スペシャル』にあった「避け攻撃」こと「スルーアタック」も採用。自分が防御モーションを取っている間にレバー前+AorBと入力すると出る専用の特殊攻撃であり、必殺技でキャンセル可能+上半身無敵効果がつく。ただしスルーアタック自体の攻撃力は0。しかも相手は吹っ飛ばないので、状況によってはスルーアタックの硬直中に逆に攻撃を喰らってしまうこともある。 「パワーゲージ」のシステムは同社の『サムライスピリッツ』のような逆転要素を持つものだが、これに『龍虎』シリーズの気力システムを加えて戦略性や攻めの方向性を付加している。攻撃を食らう・攻撃をガードする・「パワー溜め」(A+B+C長押し)のいずれかで上昇し、相手のパワーゲージは「挑発」(遠距離でレバーニュートラル+C)で減らせる。 パワーが最大まで溜まると攻撃力が1.5倍になり、「超必殺技」を使えるようになるが、超必殺技の使用または一定時間(パワー溜めでゲージをMAXにした場合は10秒、それ以外は5秒)で解除されてゲージが0に戻る。また、体力が1/4以下になっている時はゲージにかかわらず超必殺技を出せる。これは『餓狼』シリーズのシステムに近い。 なお、超必殺技のコマンドはまだインストカードに記載されない隠し技扱いだった。 パワーMAXかつ体力が1/4以下だった場合は、超必殺技の攻撃力が1.2倍になる。これは『龍虎』シリーズの隠し必殺技(ゲージを多めに所持かつ体力がギリギリの状態で出せる)に近い。 パワーMAX時は先程までに記した通り攻撃力が上がり超必殺技も使えるなどのメリットが目立つ一方で、ヒットバックが通常よりも大きくなるため、通常時に繋がる連続技が繋がらなくなるというデメリットも存在する。しかし逆に、通常ではガードされると反撃される必殺技も、パワーMAX時は間合いが離れるため反撃を受けなくなるというメリットもある。 体力ゲージが0ドットかつパワーMAX時だと、異様に攻撃力が上がる。例を挙げるとチャンの通常投げだけで9割のダメージとなり、ヘビィ・D!の超必殺技「D・クレイジー」に至ってはこの技だけで10割となる。 挑発はレバーやボタン入力でいつでもキャンセルできる。この点は『餓狼』シリーズの挑発に近い。 「ガードキャンセル」は本作では「相手の攻撃を5回以上連続でガードすると、ガード硬直を必殺技でキャンセルできる」という仕様として採用。 格闘ゲーム出身キャラの必殺技のコマンドや性質は原作とほぼ同じだが、変更・削除されたものもある。 「龍虎乱舞」など『龍虎の拳2』で隠し必殺技だったものが超必殺技になり(*3)、「覇王翔吼拳」など超必殺技だったものが通常必殺技になっている。 本作ではテリーの「ライジングタックル」やキムの「飛燕斬」など無敵必殺技が軒並み弱体化しているが、ゲーメスト増刊のインタビューで「無敵必殺技は強すぎて、ゲームバランスを崩す要因となるので弱くした」とスタッフが語っている。 『餓狼』シリーズ出身キャラはしゃがみ歩き(レバーを前斜め下に入れることでしゃがんだままゆっくり前進)もあるが、あまり使えない。 『龍虎』シリーズ出身キャラは三角跳びが削除されたが、逆に『餓狼』出身の舞は新たに使えるようになった。 フロントステップは全キャラが同じ仕様というわけではなく、舞と鎮は転がりモーションとなっている。 浮くタイプのフロントステップは空中扱いのため空中必殺技を出せる。中でもブライアンのスクリューボディプレスは実戦的。 『龍虎』シリーズ出身の女性キャラには脱衣KOがある。残念ながら舞やアテナの服は破けない。 特定の条件下で待機メンバーによる「援護攻撃」(A+B+C)が使える。条件は、「気絶状態」もしくは「相手の掴み技で掴まれてから起き上がるまでの間」であること、待機状態のメンバーが画面内にいること、相手より体力が少ないことの3つ。 援護攻撃はガード可能、ダメージ無し、ヒット時ダウン効果あり、援護に来たメンバーは無敵という性質を持つ。 敗北したメンバーは画面奥でダウンし、援護で呼べなくなる。 ラスボスのルガールには待機メンバーがいないため、代わりに背景にいるペットの黒豹が援護攻撃を担当している。 コマンド投げを連続技に組み込む事ができる。この仕様は、後のシリーズ作品にも実に様々な形を取って継承されている。 といっても本作ではコマンド投げを連続技に組み込むととんでもないことになるのだが…(詳しくは後述)。 本作におけるコマンド投げは、「投げ間合いを含む条件が満たされた場合のみ、コマンド成立と同時に(=0フレームで)発動する必殺技」という概念と思われる。よって、投げスカりの固有モーションはまだ存在しない。 このためか、コマンド投げが成立しない状態(相手がガードポーズを取っている、あるいは投げ間合いの外)で通常技をコマンド投げでキャンセルすると、何も技が出ずに通常技のモーションのみがキャンセルされる(*4)。 キャラクターごとの性能の強弱はかなり格差が大きい。本作はキャラクター単位ではなくチーム単位での総合戦闘力でバランスを取っている節が大きい。 3ラウンド先取が基本設定であることの兼ね合いのためか、平均的なダメージが対戦格闘ゲームの平均より大きい部類であり、気絶もしやすい。1チャンスからのお手軽コンボで大逆転などが日常茶飯事の大味なバランスである。 連打で出る必殺技(ジョー・ヒガシの爆裂拳など)は、全ての地上通常技をキャンセルして出せる。 タクマの強飛燕疾風脚、クラークのバルカンパンチ、ラッキーのサイクロンブレイク等一部の必殺技は空中コンボ判定となっており追撃が可能。 評価点 総勢24名というキャラクター数は当時では抜きん出たラインナップだった。そして2本先取が基本だった格闘ゲームにおいて、3本先取を原則とした(=1クレジットで体力ゲージ3本分戦える)というのもかなりの大盤振る舞いだったといえる。 ただしその分一人あたりの体力は低い。また「操作キャラを3人も覚える必要がある」ととらえる事もできるが、『龍虎』チームのように全員コマンド体系が似ているチームや、『怒』チームのように全員溜め系あるいは連打系の簡単なコマンド体系のチームを用意するなどの配慮もあった。 キャラは『餓狼』や『龍虎』をはじめとしたSNKの色々なゲームから選出されており、今でこそ定番キャラとなったものの、当時はやはりオールスター色が強く非常に華やかだった。 本作オリジナルキャラの日本チーム、特に草薙京も、そういった面々の中にいても決して埋もれていない。 各キャラクターの原作再現も忘れずに行われている。特に『龍虎』や『餓狼』が出典のキャラクターは、あの「龍虎音」などのヒット音があり、コマンドもほぼ同じですんなり扱えたりとゲーム的な利点もあった。 チーム選択制で、チーム内のキャラクターの強弱がはっきりしているため、3人をそれぞれどの順番で戦わせるかが勝敗を左右する駆け引きの一部となっていた。アーケードの格闘ゲームとしては新鮮な感覚だったと言える。 問題点 概要項を見ての通り、『サムライスピリッツ』からの参戦は無し。 世界観の問題や得物の有無によるバランスの問題など、様々な理由が挙げられてはいたものの、結果的に『KOF』シリーズ自体が出典との設定の違いやキャラバランスなどの細かい事をあまり気にしない方向での進化を遂げたため、その判断が正しかったのかどうかは何とも言えない。 この点については、続編で『KOF』独自路線のストーリーが展開されるようになるまで、いの一番に指摘される問題となっていた。 その後、『XIV』発売前のインタビューにて同作のプロデューサーである小田泰之氏は「ナコルルは開発側でも当時から出したかったという要望はあった。しかし、サムスピ自体KOF 94と同時期の開発であったことに加え、ナコルルがあそこまでの人気キャラになるとは(当時は)誰も予想していなかった。だから、ゲームエンジンの基礎部分に武器やママハハ等といったキャラクターとは別のスプライトを被せる仕組みも組込まれておらず、KOF 95以降もそうした基礎部分を引き継いでいたので、(ナコルルは)出したくても出せなかったというのが実情だった」と述べている。 「ゲーメスト」増刊では攻略ライターの一人が「サムスピのキャラがいない所に、メーカーのうまさを感じられる」と語っていた。 後の『 97』では三誌合同企画として、読者投票による参戦キャラを決める企画が開催されたが、『サムスピ』シリーズからは「世界観を考慮して」という理由で黒子のみがノミネートされた。 その後も長らく本編シリーズでのサムスピからの参戦はなく、派生作品である『熱闘KOF 95』や『MI2』などで登場するのみだったが、『XIV』にてようやく本編でナコルルが参戦、さらに『XV』ではDLCながら「サムライチーム」としてチーム単位での参戦を果たした。 小技連打が強力。 強攻撃はヒットバックが大きく連続技をつなげにくいが、逆にしゃがみ弱Kの連打は一発のダメージが馬鹿にならないくせに入る手数が多く気絶まで狙える。「めくりで飛び込み→小足連打→気絶」には萎えるプレイヤーも少なくなかった。特に紅丸やキムは小足連打からキャンセル必殺技に繋げられるためこれを露骨に狙うプレイヤーが続出した。 もっとも酷いのは鎮。連打が完璧or連射装置付きなら立ち弱P連打だけで気絶→気絶になってしまう。多少連打が甘くても、鎮はジャンプ強Pが2ヒット技のためここから弱P連打に繋げばめくらずとも気絶→気絶。 小技連打とはやや異なるが、アンディは画面端で「しゃがみ弱P→弱斬影拳」×nという永久連続技が存在していた。 一部のコマンドの必殺技が出しにくい。 いわゆる「昇龍拳コマンド(*5)」の必殺技が、京の「百式・鬼焼き」や拳崇の「龍顎砕」など一部の技はレバーを入力した後一旦ニュートラルに戻さないと、必殺技が出ずに通常技が出てしまうという謎の現象が存在する。一方、リョウの「虎咆」などは斜め下で止めてもちゃんと必殺技が出たりする。 キングの「トルネードキック」はきちんと斜め下で止めないと死に技の「猛襲脚」が暴発してしまったりする。 チームメンバーを自由に選択、結成できない。 シリーズで唯一、まだチームエディットができなかった作品だったため、あるキャラが使いたくても同じチームの他の2人は使いたくない、という事態が発生する例も少なからず見られた。 CPU戦の高難易度 やはりというか、この時期のSNK格ゲー同様の超反応ぶりを有する。 一面から飛び道具の避けやガード固めに対する投げでの崩しなんて当たり前。ガードで反撃ができる局面なら容赦なく攻勢に出てくる。 CPUのヘビィ・D!とクラークは、実は連打の利く小技を連打し続けるだけでパーフェクト勝利が取れてしまう(連射装置が無いと手が疲れてしまうが)。 ラッキーは隙の小さい飛び道具「デスバウンド」でCPUの攻撃避けを誘って投げてしまうというパターンが有効。またロバートの「飛燕龍神脚」やキムの「飛翔脚」を出し続けるパターンも対空技を持たないCPUには有効である。 中でも本作ボスのルガールは凶悪なボスとして良く名が挙がる。 最初は上着を着た第一形態で、この状態では投げ技と必殺技を持っていない(立ち強Pはガードしても必殺技同様に体力を削られる)。投げ技を持っていない弱点を突いて、飛び込みを誘うor起き上がりに攻撃避けを出して投げ、というパターンにはめられる。 上着を脱いだ第二形態は高性能な技に加えて、この当時のSNKの代名詞とも言える超反応で襲ってくるため倒すのは至難であった。特に彼の必殺技「ジェノサイドカッター」は通常の必殺技でありながら、パワーゲージMAXの状態で2段共に食らうと体力MAXから9割減らされてしまう事から語り草となっている。 とはいえ近づいてきたところを投げたり、しゃがみ強Pが横方向に強いキャラ(餓狼チームや怒チームなど)は近づいてきたところにそれを連発するだけでかなり戦える。またパワーゲージ溜め中は反応が鈍くなるため、その隙に乱舞や突進系の(超)必殺技、投げなどが入りやすい。 舞だけは、弱ムササビの舞を出すとジェノサイドカッターの空振りを誘発できるため、すぐに必殺忍蜂を出すとジェノサイドカッターの隙にヒットさせられるというパターンが存在していた。 キングでは少し離れてイリュージョンダンスを出すだけで勝ててしまう(技の出だしの回転動作に反応してジェノサイドカッターを空振るので、技後の隙にヒットする)。 その他 何かとバグが多かった。 一定の条件下で投げられ判定が消えてしまい、攻撃避けが万能無敵状態になるといったやや危険なものもある。 が、面白いバグも数多く、好意的に受け止められた部分もある。 + 代表的なバグ 「投げてからダメージが入るまでに自分のキャラを動かせる猶予がある通常投げ」を決め、投げのダメージが入るまでに超必殺技を出すと、その通常投げのダメージと得点が超必殺技のものになる(有名なのはアテナの投げ→シャイニングクリスタルビット。他にも鎮、ブライアン(*6)、キムも可能だがキムは鳳凰脚の最初の一撃分のダメージしか入らないため逆に攻撃力が減少してしまう(得点は稼げるのだが))。 リョウ、キム、ブライアンは特殊なコマンドを入力すると、空中で超必殺技が出せる(後の空中鳳凰脚の元ネタ)。(*7) 飛び道具を出してから前後にステップをしてからまたすぐに飛び道具を出すと、画面中に2個飛び道具を出せる。 ハイデルンのストームブリンガーの一段目の攻撃値と気絶値が、直前の攻撃(または決めた投げ技)のものになる。特に1P側でムーンスラッシャーを空振りした後に決めるとダメージが異常に上がる(*8)。 このバグは印象的だったためか、『 95』以降でも再現されている(*9)。ちなみにこの数値はタイトル画面を表示しない限り初期化されないため、CPUルガールを含む全キャラの攻撃でダメージが変化する。 ハイデルンではもう一つ、1P側のムーンスラッシャーが相手の攻撃と相打ちになると、ダメージが激増する。これも『 96』以降で、カウンターダメージが大幅に増加するという形で再現されている。 ジャンプ攻撃ヒットまたは通常技キャンセルからのコマンド投げの連続技を決めた後、ダウンした相手に前ステップ等で近づいてコマンド投げを入力すると、ダウン中の相手を投げてしまえる。投げ硬直の短い大門がやりやすく、凶悪な連続技として有名(*10)。 弱ボタンで入力した技のコマンドを、発動中にもう一度強で入れなおすと、弱の性能で発動し強の効果を持つようになる。その逆もできる。今作で実戦的だったのはアテナのフェニックスアロー切り替え(スキの無い弱で出し、ヒット時のみダウンを奪える強に切り替える)ぐらいだが、次回作『 95』で猛威を振るうことに。 グラフィックはそれまでの原色に近い色使いと丸みを帯びたSNK作品と異彩を放ち、シャープなライン・ドットの組み合わせと淡い色使いによる濃い画風になっている。 というのも、本シリーズのドッターはゲーム事業を撤退していたアイレムからの移籍組だったため。当時業界最高峰と言われていた彼らは、このシリーズの他にも『メタルスラッグシリーズ』を手掛けることになる。 キャラ人数を重視する作品だけに一人一人のモーションパターンの数量は餓狼伝説などには劣るため、必殺技・超必殺技の動きは粗く見える場合が多かった。それでも本作のキャラグラフィックにおける評価は、後作での評価のハードルを図らずも引き上げてしまうほど高いものとなった。 一部のチームの代表国の割り当てが妙なことになっている。 日本、アメリカ、韓国は問題なく、3人中2人が出身国として該当する中国や、その国の傭兵部隊という括りで当てはめたブラジルもまだ言い訳が立つ。しかし、それ以外のチームは割り当てられた代表国の出身者が一人もいないため、無理矢理当てはめた感が強い。 イタリア代表(餓狼伝説チーム)は『餓狼伝説シリーズ』でアンディがイタリア代表にさせられていたため(*11)、それを流用した可能性がある。もっとも、アンディはアメリカ人であり、他の2人もアメリカ人と日本人である。 メキシコ代表(龍虎の拳チーム)は2人が日本人で1人がイタリア人だが、「極限流道場の支部がメキシコにある」という理由でメキシコ代表扱いになっている(*12)。 イギリス代表(女性格闘家チーム)は2人が日本人で1人がフランス人であるが、キングの経営するバー「イリュージョン」がイギリスに支店を出しており、『KOF』シリーズでのキングは主にそこで活動しているというやや強引な設定。 しかしいずれも各国代表と言うにはこじつけ感が強い。イタリア人のロバートがいる龍虎の拳チームをイタリア代表に出来なかったものだろうか。なおイギリスチームについては企画段階ではキング、ビッグ・ベア(ライデン)、ビリー・カーンとなる予定であり、そのうちビリーがイギリス人だったのでその名残とも考えられる(*13)。 一応設定上では、そもそも招待状が個人単位で届く事から、その人物が指名したメンバーであれば経緯や招待状の有無も問われない様子であるため、メンバーの事情などで成行きに代表となってしまったとも考えられる。 ゲーメストムックの開発者インタビューでは、代表国の割り当てについてはスタッフが「営業的な兼ね合いで決定した」と語っていた。 次回作以降は、登場キャラクターの増加に伴い、国という括りで分けることが困難になったため、主人公チーム(日本)とキムチーム(韓国)以外は代表国の割り当てがなくなった。『XIV』では本作とは異なるメンバーで中国チームとメキシコチームが結成された。 総評 「豪華なのか地味なのかわからない」この中途半端さが本作の泣き所である。 SNKゲームのラインナップは超能力や銃火器の飛び交う破天荒な世界観が当たり前のようにあったが、一堂に会するにあたって非日常性がやや薄れたことも重なり、1作内へのすり合わせの結果過去作から参戦してきたキャラたちが良くも悪くも大人しくなってしまった。 本作の新キャラクターたちもまた確かに魅力的だった。そこに加えて、同社のスターキャラ同士が同じ土俵に上がり、格闘ゲームのチーム戦を演じる。 「サムスピもあれば…」との声も確かにあるが、それを差し引いてもお祭り気分は申し分ない。 サムスピキャラ以外に足りないものを挙げるなら、自由にチームを組める自由度と、大味なバランスの改善、またはそれを吹き飛ばすほどの華やかな本作ならではの独自要素だろう。 後者の課題をクリアし、『KOF』がシリーズとして花を開かせるには、来年の発表までもう少し時を待つ必要があったようだ。 その後の展開 続編の『 95』が、ほぼ1年後である翌年の夏にリリースされた。以降、『KOF』シリーズは毎年夏にリリースされていき、『2001』で一旦様々な諸事情(詳しくは前述にリンクした作品の紹介ページを参照)により時期こそズレが生じたものの年号通りの年内にリリース、その後も『2003』まで毎年、年号通りの年内にはリリースされ続けたが、2004年に本編のリリースがついに途切れたため、翌年2005年リリースの『XI』以降はナンバリング形式に移行している。 『 97』では、本作から受け継がれたシステムをベースにキャラクターを操作する「EXTRAモード」が実装され、『 96』風+ストックパワーゲージの「ADVANCEDモード」の2種類から選択できる。 余談 「元々はオリジナルチームとオリジナルキャラがメインのゲームになるはずだったが、(チームバトルの格闘ゲームとして成り立つ分の)キャラ数が多すぎた理由で既存キャラを使う事になった」というのが本作のできる発端だったらしい。言われてみると主人公が1P・2Pの2人というゲームが多い以上、作品ごとにチームを組むなら2人1組が自然なのに3人1組で、なおかつ『サイコソルジャー』や『怒』はオリジナルキャラを追加して無理やり3人組にしているなど、原作ありきでは不自然な構成が多い。(*14) 以前『餓狼伝説スペシャル』に『龍虎の拳』の主人公が隠しボスとして登場するといった夢の競演もあり、この頃から『餓狼』のキャラと『龍虎』のキャラで対戦したいという要望は少なからずあったが、本作がそれに応えて生まれたわけではなく偶然の一致なのである。 そして、初期構想では「リーダー+似た性能の二人」というシフトが中心になる予定だった。 リーダーの存在が大きい韓国チームやサイコソルジャーチーム、他それぞれ必殺技性能やコマンドの傾向が似通った龍虎・怒チームにもその片鱗が見て取れる。 本作から約11年後に、本作と同じSNK及び(同社や版権を所有しているメーカーの)ネオジオオールスター・ドリームマッチ路線の対戦格闘ゲーム『ネオジオバトルコロシアム』が発売・稼働開始した。こちらは前述で記した通り当初はSNKオールスター路線として企画されてはいなかったKOFと違い、最初からオールスター路線として企画されていたこともあり、本作では出場できなかった『サムライスピリッツ』シリーズのキャラも多く参戦、他にも『月華の剣士』シリーズなどのKOFシリーズに参戦したことがない格闘ゲームのキャラや、『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズ、『メタルスラッグ』シリーズなど格闘ゲーム以外のジャンルのキャラ達に加えてさらに、当時既にADKの版権を所有していたこともあり『ワールドヒーローズ』シリーズ、『痛快GANGAN行進曲』といったADK作品のゲームのキャラ達も参戦、一堂に会している。 その後、『KOF』自体でも『XIV』でようやく『サムスピ』出典キャラの本編参戦が叶った。 格闘ゲーム以外では、後にリリースされた携帯アプリ向け恋愛ゲーム『デイズ オブ メモリーズ』シリーズでも『KOF』『餓狼』の現代勢と『サムスピ』『月華』の江戸勢の競演が実現した。「やっぱり“夢の競演”といったらこのくらい大胆な方がいいか」という路線に考え直したという事だろうか。 『DOM』については後にニンテンドーDSにも移植されている。 発売・稼働当時に放映された本作のCMは、本作がオールスター格闘ゲームというセールスポイントを前面に出した内容となっており、「餓狼とか、龍虎とか....」「その噂は本当なのか!?SNK歴代キャラクター達が集結!!?」などと如何にもそのセールスポイントを強調した台詞が飛び交っていた(*15)。 原作では『龍虎』が『餓狼』のおよそ10年前という設定だったが、本作では両作品のキャラクターが同時代の人物として大会に参加しているなど、原作とは似て非なるパラレルワールドの設定となっている。(*16) 元々は「夢の共演」であり原作の年代差などは考慮せずに制作されていたのだが、『KOF』が人気となりシリーズ化されたことで独自のストーリーを展開していくことになり、各キャラクターにも原作に無い『KOF』独自設定が付加されていった。 本作時点でも、オリジナルキャラや時代の合わないキャラに対して原作を持つキャラが面識を持っていたりする。 その後各原作が事実上終了して『KOF』だけが継続した結果、『KOF』でのキャラ付けの方が有名になってしまうという逆転現象も起きている。 「ゲーメスト」において1994年のゲーメスト大賞を受賞している。 ちなみにゲーメストムックではやはり通常運転レベルともいうべき誤植が多く、本作に関するものでは「ジャンニーキックプ」「ハキデるン」「シマイニングクリスタルビット」「ブライマン」などが存在している。 しかもハイデルンの名前に至っては、(ムックを含めた)ゲーメスト誌上において、「ハキデるン」「ハイデルソン」「ハンデルン」と計3回も誤植されていた。ハイデルンが何をしたというのだ。 実は草薙京は開発の初期段階では暴走族のヘッドで「霧島 翔」と呼ばれていた(*17)。紆余屈折を経て改造学ラン姿の現行デザインに変更され、更に開発終盤になってからキャラ名が「草薙 京」に変更されて「ヤマタノオロチを退治したという草薙流古武術の使い手で留年高校生」という設定も追加された(*18)。 もし霧島翔のまま主人公として登場していたら、『KOF』シリーズの展開がどうなっていたか気になるところではある。その霧島翔もDC版『 99』のエクストラストライカー、『2000』の京のアナザーストライカーとしてゲームに登場している(*19)。 チョイ・ボンゲは本作の発表当初のイラストでは縞模様のシャツを着用していたが(ゲーメストムックではこのイラストが掲載されている)、元ネタである『エルム街の悪夢』のフレディ・クルーガーに酷似し過ぎて海外スタッフからクレームが来たため、半袖の緑Tシャツにサスペンダー付ズボンという服装に変えられている。 その割にはプロフィールの「大切なもの」の項目では、「フレディのツメを真似て自分で作ったツメ」と紹介されているが。 本作のタイトルは『餓狼伝説』および『龍虎の拳2』でギースが主催していた格闘大会の名前に由来する。(海外版『餓狼伝説』のサブタイトルでもある) ただしそれら由来元は、「KING OF THE FIGHTERS」とTHEの位置が異なっていたり、「KING OF FIGHTERS」とTHEが冠されてすらいなかったりなどと、表記にブレも見られた。 本作の少し後の1995年2月1日に稼働開始した、ザウルス製作のSNKクロスオーバー作品『クイズ キング・オブ・ファイターズ』のタイトルも同じ由来を持つが、本作との関わりは薄い。(*20) 他にも、本作との関係性は薄いとはいえ、同社SNKには『キング・オブ・ザ・モンスターズ』シリーズなるアクションゲームや、『リーグボウリング』というボウリングゲームの作中で「KING OF LANE」と表記された床や看板が出てきたりなど、「KING OF(キング・オブ)」という表記や表現を好んでいた傾向が見られた。 第一作目当時のタイトルの略称はまだ『KOF』が定着していなかったが、『KOF』の略称は既にゲーム内に登場していた(アメリカチームのステージ背景に、『KOF』のロゴが入った旗が存在する)。 その後『 96』で劇中の大会ロゴマークに『KOF』と描かれていたり、OPなどのデモにその略称が登場したりと、公式でも割と速い段階で定着させていた。 ラスボスのルガール・バーンシュタインは『餓狼伝説』シリーズのボスキャラであるギースの「烈風拳」とクラウザーの「カイザーウェーブ」、また本作の麻宮アテナの「サイコリフレクター」に似た「ダークバリア」を使うのだが、これは企画当初の「プレイヤーの技を見ただけで完全に使いこなしてしまう」という設定が実現できなかったため、その名残として「優れていると思った技をなんでも取り入れる」という形として既存の必殺技などを使うようになった、ということである。 勝利メッセージ画面のバストアップイラストのうち、餓狼・龍虎勢のうち3名(アンディ、ジョー、ユリ)については、各種出典の公式イラストからのトレスだったりする。 本作が漫画化された作品が真行寺たつや氏によって描かれ、この年の12月に創刊された角川書店の月刊漫画誌『少年エース』の創刊号から連載された。 後に全4巻で単行本化もされている。 家庭用移植 1994年10月1日にネオジオROM版が、同年11月2日にネオジオCD版が発売された(発売元は共にSNK)。CD版は激長ロードがアレな事とアレンジBGMに変更されている、パワー溜めのボイスが通常の攻撃時のボイスに差し替えられている事を除けば、それ以外は両者共にほぼ完全移植となっている。なおCD版のロードは後発の『KOF』と違い、試合開始前に6人分のキャラをロードするため試合中のロードが無い(その分ロード中は極長だが)。 ネオジオ以外のプラットフォームにおいてはしばらくの間は一切移植がされなかった(*21)が、2004年12月28日に10年ぶりのリメイク移植『THE KING OF FIGHTERS 94 RE-BOUT』が発売された(詳しくは下記にて)。 2007年11月6日からネオジオROM版がWiiのバーチャルコンソールにて配信されている。要900Wiiポイント。 2010年12月22日からプレイステーション・ポータブル/同3のネオジオステーションにもネオジオROM版基準が配信されていたが、2016年7月27日を以て本作を含めた全タイトルが配信終了となった。要700円(PSP)/要900円(PS3)。 PS3版に限りネット対戦も可能であった。 2016年10月27日、PS4にてMVS版が配信開始。ハムスターが展開する『アーケードアーカイブス』から派生した『アケアカNEOGEO』の第一弾としてリリースされた。 2017年3月16日、Nintendo Switchの方でもハムスターよりアケアカNEOGEOの一つとして配信が開始された。こちらはSwitch発売日である3月3日に同時に配信されていた『 98』より、ほんのわずかに遅れての配信となった。 ネオジオROM版ではなくMVS版の完全移植はこれが史上初となる。クレジット投入やレベル表記なども再現、他の配信タイトル同様に5分間でどれだけスコアを稼げるか競う「キャラバンモード」も搭載されている。ただしサービスの主旨からか、残念ながらネット対戦は搭載されていない。(*22) また、2009年5月21日に発売されたオムニバス集『SNK ARCADE CLASSICS Vol.1』、及び2010年6月24日に発売された『THE KING OF FIGHTERS PORTABLE 94~ 98 Chapter of Orochi』(発売元は共にSNKプレイモア)にも本作が収録されている。 THE KING OF FIGHTERS 94 RE-BOUT 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず ないんてぃふぉー りばうと】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 プレイステーション2 発売・開発元 SNKプレイモア 発売日 2004年12月28日 判定 なし ポイント 初のネオジオ関連以外の『 94』移植リメイクと原作移植の二本立て 概要(RE-BOUT) 『 94』(以下、主に「原作」と表記)のリメイク移植であり、ネオジオ以外では初の家庭用移植でもある。KOFシリーズ10周年記念作の一つとして発売された(*23)。 当時、家庭用ゲーム機が16ビット機から32ビット機への移行期であった94年から95年にかけての約一年ほど、SNK・ADKのネオジオ作品が他社のハードへの移植作を取りやめていた時期があった(*24)。セガと契約し初めて自社制作及び発売で他社ハードに移植したネオジオ作品が『 95』であり、PSにもソフトを提供するようになり以後はその空白期間の作品も徐々に移植されるようになっていったが、年一本ペースで発売される『KOF』(及び『サムスピ』)に関しては最新作を移植するのが精いっぱい(アーケード→ネオジオ→ネオジオCD→他機種という順だがその間隔は相当な短さ)であり、『 94』に関しては長い間他社ハードへの移植が行われる機会が与えられなかった。 然るに、本作のリリースは隔年リリースに変わった後のシリーズの10周年を記念した企画として行われたものであり、ハードはPS2になってからであった。 ドットをハイレゾ化し背景を3D化するなどグラフィックをPS2相当にすべてリニューアルし調整を加えたリメイクと、原則として原作のネオジオROM版をベタ移植したオリジナルの2本が収録されている。 リメイク版は原作では不可能だったチームエディットが可能となり、原作では主人公チーム使用時限定のデモに登場していたが、プレイアブルとしては本来は『 95』から登場する草薙柴舟が新たに追加された。また、原作ではCPU専用ボスだったルガール・バーンシュタインも使用可能になっている。また、リメイクといっても、共通システムは若干の変更が行われているだけで(詳しくは次項「変更点」に記述)、操作性と共に原型・根本は変わっておらず、既存のキャラの技構成も一切変更されていない。原作に存在していたバグについては危険性の高いものは削除する一方、プレイの幅を広げたり面白みがあるものについては残されているなど、完全に作り変えてしまうのではなく、あくまで『 94』の雰囲気を残したままのリメイクとなっている。勿論?脱衣KOも健在。ついでに草薙柴舟本人が操作キャラとして新たに追加されたにもかかわらず、主人公チームのデモでも台詞テキストにおいて表示される人物名が「父」なのもそのまま。 初回限定盤はネオジオCD付属のパッドをPS2用にボタンを増やすなどリファインしたコントローラー『ネオジオパッド2』と記念に作成されたゲーメストムックが付属していた。ちなみにこのネオジオパッド2は後に単品販売は行われていない(*25)。 マルチマッチングBB対応第一弾タイトルであり、ネット対戦可能だった。後のNEOGEOオンラインコレクションシリーズの前身とも言える。 OPも原作のドット絵のものではなく新規アニメが作成されている。キャラクターデザインは原作当時のキャラクターイラストの濃い画風が忠実に再現されており、2004年発売の作品とは思えないほどに90年代(見方によっては80年代とも)アニメの雰囲気を醸し出している。 変更点(RE-BOUT) 追加要素やグラフィックの画風の変更などは前項で記しているため、主にシステム面における原作こと『 94』からの変更点を以下に記す。 パワーゲージの場所が変更された。 原作は現在のシリーズと同様に(*26)画面の最下段に表示されていたが、本作は体力ゲージの横のキャラアイコン(円形)の周囲を囲うように曲線状で表示されている。 パワーMAXになると、MAX状態終了までの間、キャラアイコンが「MAX」のテロップ表示に置き換わる。 背景に待機中/倒された控えメンバーが表示されなくなった。 これに伴い、援護攻撃で援護してくれるキャラクターは、ネスツ編のストライカーの如く、画面外から飛び出して登場する仕様に変更された。 画面内に映っていなくても援護できるようになったため、使用可能範囲自体も大幅に拡大されており、ほぼステージ中央から分かたれる形で、左側エリアが1P側、右側エリアが2P側の範囲となっている。 なお、設定で背景をリメイクからオリジナルに戻した場合は控えメンバーが表示される形式に戻り、使用可能範囲も原作通りに戻る。 続編『 95』以降のようなキャラ相関による相性は一切存在しないため、使用条件(控えメンバーが残っており、相手より体力が少ない状態で気絶or掴まれる)さえ満たせば柴舟やルガールなども含め100%援護を行ってくれる。 パワーMAX中にガードキャンセルが使用可能になった。 システムにおける一番大きな変更点。これは続編『 95』で採用されているシステムそのままで、そちらで対戦バランスを崩壊させたシステム(詳しくは『 95』のページを参照)をそのまま導入してしまっていることに首を傾げてしまうかもしれないが、これは恐らくリメイク版でも健在の脅威的な小足・小技連打への対抗手段として、あるいは初心者の敷居を下げるために導入したものと思われる。 使用してもMAX状態を打ち切らずMAX状態時間内なら使い放題なのも『 95』と同様。強いて違いを挙げるなら、MAX状態の有効時間がそちらより短い(これは原作も同様)ことくらい。 連続技を決めた際にヒット数がカウントされて表示されるようになった。また、前述のガードキャンセル使用時にも同じ場所にテロップが表示される。 攻撃避け使用時に画面が奥に若干動くようになった。背景の3D化を活かした演出。 超必殺技を使用した時に画面が停止して暗転するようになった。 本シリーズにおいては本来は『 97』以降で導入された演出。 ルガールの必殺技、「ゴッドプレス」が超必殺技に変更された。 原作ではボスのルガールのみ超必殺技がなかったが、リメイク版では原作で必殺技の一つだったゴッドプレスが超必殺技に変更される形で搭載された。 これは、本来原作をそのまま再現しているはずのネオジオモードでも同様に改変されて同様の仕様となっている。 後の『 95』以降のルガールの新規超必殺技であるギガンティックプレッシャー(*27)に似せての選出と思われる。 評価点(RE-BOUT) 良くも悪くも原作『 94』と殆ど変わらない操作性や感覚、システム、雰囲気。 まるごと作り変えてバランスも根底から調整するのではなく、あくまでも当時の原作を出来るだけそのまま再現することに重点を置いており、原作を遊んでいた人へのファンサービスとしては及第点。 また全て原作のままというわけでもなく、例えば対人戦でのみ気絶耐久値を原作の1.5倍に引き上げ気絶しにくくなる(CPU戦はそのまま)など、バランスを配慮した面も見られる。 原型を極力守りつつも、対戦に支障をきたす危険なバグの除去を行っている。 例として空中で非ダウン技を食らうと投げられ判定が無くなるバグなど、一部バグが修正されている。 一方で空中超必殺技バグなど面白味のあるバグはそのまま残っている。 グラフィックもハイレゾ化や背景の3D化を行いつつも、当時の画風をそのまま残している。 新規アニメのOPムービーに至っては最早、あえて時代を逆行しているようにも見える。 リメイク背景は原作から一新されており、今後のシリーズに登場することになる者も含む歴代SNKキャラクター達が多数登場している。 また、設定でオリジナル版の背景に戻すことも可能。 賛否両論点(RE-BOUT) 原型を尊重しているのは評価点でもあるのだが、それと同時に、「シリーズや格闘ゲームが発展した今やると技もキャラも少なくて物足りない」/「小足・小技連打が脅威でキャラ差が目立っているなど大味な対戦バランスは変わっていない」といった欠点も同時に抱えて/引き継いでしまっている。 とはいえ、これは元々オリジナルを尊重し、原型を出来るだけ残して先の時代にも遊べる出来にすることに重点を置いて作られたリメイクであるが故にコンセプトを大幅に逸脱するわけにもいかなかったことは察しがつく。逆にそこが(主に当時のファンに)嬉しいという意見もあるので、一概に問題点とは言えない。 また、小足・小技連打が脅威なのはそのままな一方で、それへの対抗手段として「パワーMAX中はガードキャンセル使い放題」というシステムを設けたのは、初心者の敷居を低くもした純粋な評価点であり、原型を留める形で調整を施したともとれる。 チームエディット導入 システム等はほぼ原作とほぼ変わらない状態で新たにチームエディットを導入した結果、『 95』以降と同様に強いキャラクターのみで固めるチームが組めるようになった。 原作ではチーム固定だったからこそのバランスもあったのだが、今回はそれが崩壊してしまった形にもなっている。追加キャラクターの柴舟とルガールが揃って強キャラなのもそれに拍車をかけている。 もちろん好きにチームを組めるというのはメリットも大きく、原作に無い新たな要素かつ後続のシリーズでは当然のシステムでもあるため、本作独自の売りであるとも言える。 攻撃避けで背景まで動く演出がやや過剰 確かに3D化を活かした演出ではあるのだが、いちいち避ける度に背景全体が動いてしまうため、実際の対戦ではかなり気になるものとなってしまっている。 問題点(RE-BOUT) デザイン変更されたパワーゲージが見づらく、視認しにくい 変更点で述べたようにパワーゲージが体力ゲージ横の円形のキャラアイコンを囲うように曲線状になって配置されたのだが、これが元々小さいキャラアイコンに合わせたサイズである上に小さくて細く、しかも最上段の左右端それぞれに配置され、デザイン自体も湾曲した独特の形状になっているせいで、極めて見づらいものになってしまっている。テストプレイで気付きそうな不便な点だと思うのだが……。 追加されたエディットチーム用のエンディングが非常に簡素 エディットチーム用の汎用エンディングが新たに追加されたのだが、基本的なストーリーをなぞるだけで、特にエピローグも無く尻切れトンボ気味で終了となる。 確かに元々の『 94』には本来存在しなかったものではあるが、『 95』以降のエディットチーム用の汎用エンディングと比較してもあまりにシンプルすぎる内容になっている。 柴舟やルガールが新たに使えるようになったものの、彼らを使用した場合の特殊エンディング等も特に無しで、上記の簡素なエディットチーム扱いとなる。 総評(RE-BOUT) 『 94』を現代風に蘇らせたリメイク作品。 よくも悪くも原作の持ち味がそのまま残っており、原型を尊重したリメイクとしては合格と言える。
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THE KING OF FIGHTERS 94~ 98 CHAPTER OF OROCHI THE KING OF FIGHTERS'94~'98 CHAPTER OF OROCHIID+ゲーム名 ID+ゲーム名 _S NPJH-50258 _G THE KING OF FIGHTERS 94-98 CHAPTER OF OROCHI
https://w.atwiki.jp/wsranking/pages/33.html
タイトルリスト THE KING OF FIGHTERS? 特徴 格闘ゲームブームの一翼を担ったお祭りゲームがヴァイスに参戦。 全体的に能力面でのバランスが良く、特に回収とバウンスにかけては群を抜いている。 イベントも条件はあるが1/2で2枚回収?や2点回復?と必要なものは揃っている。 しかし、最大の弱点は自分のターンまでかかるチェンジタイミングである。 このゲームは基本的にバンバン倒し倒されるというゲームなので次の自分のターンまで待つのは辛い。 その分コストも軽いが、1ダメージと決して軽くないのもある上、チェンジタイミングで既にチェンジ後のカードと同じレベルになるのも珍しくない。 他の作品と比べるとリフレッシュする可能性が一番高いタイミングなため、チェンジを使用するには高いプレイングが要求される。 能力面では優秀なものが非常に多い反面、パワー面では最近の環境で比べると低めである。 キャラも人数が多い故にバラけてしまっており、ガチのデッキ構築が難しくなっている(逆に言えば様々なデッキが作れるということだが)。 その為、使用者はエクストラパックを希望する者が多い。 どちらかといえばスタン向きなタイトルといえる。 黒リーグではFAIRY TAIL?と組んで赤青の竜デッキを組むのも面白い。 ちなみにアレだけキャラをバラけたのにこれでもまだ半分も出ていなかったりする。 トップデッキ 【赤黄青_バウンス回収(ソウル+2軸)】 その他のデッキ 【ネスツデッキ】?(緑青t赤) 《改造》?&《クローン》?+如月 影二?&山崎 竜二? 氷の美少女クーラ?を軸にしたネスツデッキ。関係カードがやたら高額。 クーラ?やリョウ・サカザキ?による後列狩り Kを超えるもの?による圧縮促進など、粘り強さに定評がある。 【庵&ルガールデッキ】?(黄青t赤) 封ずる者 庵?や紫炎と緑炎?等を使ったバウンス重視デッキ。 登場キャラへのストックは最小限に抑え、マチュア&バイス?の集中でサーチをし、アドバンテージを得る。 同時に如月 影二?の集中を使い、リョウ・サカザキ?の能力を使いやすくすることができる。 名前 コメント すべてのコメントを見る
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THE KING OF FIGHTERS 2002 UNLIMITED MATCH 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず つーさうざんどつー あんりみてっど まっち】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 プレイステーション2アーケードXbox 360(Live Arcade)Windows(Steam)プレイステーション4 メディア 【PS2】DVD-ROM 1枚【AC】SYSTEM Y2(*1)【PS4】BD-ROM 1枚 発売元 SNKプレイモア【PS4】SNK 開発元 【AC/PS2】SNKプレイモア【PS4/Win】Code Mystics 発売日 【PS2・オリジナル】2009年2月26日/5,280円【PS2・闘劇ver】2010年6月24日/2,932円【PS4・パッケージ】2021年4月15日/2,980円 稼動開始日 オリジナル 2009年7月9日NESiCA×Live版 2011年1月24日 配信 【360】XboxLIVE ARCADE 2010年11月3日/953円【Win】2015年2月27日/1,480円【PS4】2021年2月9日/1,980円 判定 良作 THE KING OF FIGHTERSシリーズ 概要 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 概要 『KOF』シリーズの第9作目である『2002』のリメイク。 リメイクであると同時に、前年に発売された『 98』のリメイク作『 98 ULTIMATE MATCH』( 98UM)に続くUMシリーズの第2弾でもある。主な略称は『2002UM』。 ただし後述するように大幅な追加要素や調整が入っているため、ほぼ新作といっても過言ではない。 『2002』のリメイク作品としては、過去に実質リメイクである『THE KING OF FIGHTERS NEOWAVE』が存在したが、今回はそれとは異なり改めて作り直したもの。 なお、本作の登場に伴い、リメイク元の原作『2002』は区別として、主に「無印『2002』」、一部からは「元祖『2002』」「旧『2002』」とも呼ばれるようになった。これは『 98UM』の原作の『 98』も同様(*2)。 ※本ページ内でも以降は便宜上、リメイク元の原作『2002』は、基本的に「無印(『2002』)」と記載しています。 特徴 本作はまず最初にPS2にて家庭用版を発売し(初期版)、のちにバグチェックと少々のバランス調整をしてアーケード版を稼動、更にアーケード版を元に『闘劇 ver.』をPS2で発売(兼廉価版でもある)、という経緯をたどっている。基本的にこれらのバージョンに大きな相違はない(*3)ため、本項では全て一緒に扱い、バージョン固有の特筆点ではその都度それを特記する。また闘劇verを含め『家庭用』と一括。 機種 ゲームバランス 背景 ボスキャラ使用 チャレンジ/エンドレス アートギャラリー/カラーエディット 無印2002 PS2/初期版 PS2初期版独自 3D O(隠し) O O O アーケード基板(Y2版) アーケード 2D - - - - PS2/闘劇ver. アーケード 3D O(隠し) O O O XBLA アーケード 2D O(隠し) O - - NESiCA×Live(アーケード) アーケード 2D - - - - Steam(Win) アーケード 2D O(デフォルト) O - - PS4 アーケード 2D O(デフォルト) O - - 上記をまとめると「最初のPS2版初期版のみ、以降に発売or稼働したバージョンとゲームバランスが違う」「PS2版の2作のみ無印『2002』の家庭用ネオジオ版を同時収録、ステージ背景が3D仕様でアートギャラリーとカラーエディットもあり」「家庭用全般はチャレンジモードとエンドレスモードを搭載」「アーケード版はボスが使えない」となる。 PS2版初期版と闘劇ver.にはセーブデータの互換性はない。隠しキャラの解禁もそれぞれ別途に必要(出現条件自体は同じ)。 ちなみに、PS2版闘劇ver.は、SNKプレイモアが発売した最後のPS2用ソフトにもなった。 Steam版では隠しキャラクターが最初から全てオープンされている他、後にアップデートでオンライン対戦のネットコードにロールバック方式を実装した事でラグが大きく改善され、更に後のアップデートにて多人数対戦ロビーと観戦機能が実装されている。 PS4版は上記のSteam版と同等の内容。後にパッケージ版も発売されている。 『 98UM』に続きネオジオ博士(顔出しの多い一社員)プロデュース。 なおこの『 98』と『2002』という選出は、2作ともストーリーの存在しないいわゆる「お祭り」作品であり、同時にその優れた対戦バランスからユーザーにずっと親しまれてきた、という共通点がある。 お祭り作品のリメイクとしては『 94 RE-BOUT』もあり、これらお祭りタイトルの各原作は全て4年置きである。 + 参戦キャラクター 17チーム51人・エディット専用1人+隠し2チーム6人+家庭用限定8人無印『2002』未登場の復活キャラクターは太字、うち家庭用無印『2002』で復活登場済みのものは下線 通常キャラ 日本チーム 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 餓狼伝説チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー東 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア ユリ・サカザキ 怒チーム レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 包 韓国チーム キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ 女性格闘家チーム 不知火舞 キング 藤堂香澄 美少女格闘家チーム 李香緋 四条雛子 メイ・リー ジョンチーム ジョン・フーン 麟 矢吹真吾 マスターチーム ハイデルン タクマ・サカザキ 鎮元斎 八神チーム 八神庵 マチュア バイス 97スペシャルチーム ブルー・マリー ビリー・カーン 山崎竜二 オロチチーム 七枷社 シェルミー クリス K チーム K マキシマ ウィップ エージェントチーム セス ヴァネッサ ラモン ネスツチーム クーラ・ダイアモンド アンヘル フォクシー クローンチーム KUSANAGI 草薙京-1 草薙京-2 エディット専用 ネームレス 隠しキャラ※裏オロチチーム以外は一部家庭用版のみ解禁に条件が必要 裏オロチチーム 乾いた大地の社 荒れ狂う稲光のシェルミー 炎のさだめのクリス KOF2000Ver.チーム 裏タクマ 裏ロバート 裏ケンスウ ボス(家庭用のみ使用可) クリザリッド クローンゼロ オリジナルゼロ イグニス オメガルガール 家庭用のみ登場 ギース・ハワード/ナイトメアギース ゲーニッツ (※家庭用も含めた無印『2002』登場メンバーはほぼ全員出ているが、K9999 と ツキノヨルオロチノチニクルフイオリ のみ未参戦。) 評価点 対戦ツールとしてバランスがよく名作とされる無印『2002』を元に、以下のようなリメイクがなされている。 キャラクター選出 キャラクターの大幅追加。 アーケード版だけを比較しても、無印『2002』では通常使えるキャラクター43人と、ラスボスでありプレイヤーはACで使用不可能なオメガ・ルガールの計44人であった。本作はプレイアブルキャラクターが58人(うち裏キャラが6人・無印未登場キャラが16人)に増加。これは格闘ゲームとしては最多クラスのキャラ数であり、元々チーム戦前提のKOFシリーズでも史上最多にわたる人数を誇るものだった。 さらにボスキャラクターの5人および、家庭用限定でボスとともに使えるキャラの3人(うち1人は裏キャラ扱いのボス相当)が存在し、最大で計66人が収録されていることになる。 AC版に登場するキャラクターに関しては、ボスも含め『 99』から『2001』までの一連のストーリー、通称『ネスツ編』で登場したキャラクターが1人を除いて全員共演を果たした。加えて、本作初出の完全新キャラクターも1人登場(詳細は後述)。 ネスツ編で期待の新星として華々しく?登場しながらもあっさり欠場したイケメン三枚目ジョン・フーンや相撲美少女の四条雛子、それ以前の作品からネスツ編まで通して登場していながら無印出場が叶わなかった人気キャラのキングや矢吹真吾が復活。 意外どころでは『 99』にだけ出ていたクローン京-1及び京-2が再参戦している。このため草薙京のコンパチキャラが本人含めて4人もいることになるが、この人選はネスツ編に登場するキャラクターは絶対に漏らさないという意思表示とも言える。これらクローン京のチームは『 99』ストーリーで表舞台を降りて隠しキャラ化した草薙京の代替であるとともに、「旧バージョンの京(*4)を使いたい」というファンの要望に応えた要素も兼ねているため、京-1は『 95』を基本に『 96』の技を加えているなど、過去作を意識した性能が設定されている。 また無印では草薙京とKUSANAGIは同じチームに入れて使用する事が出来なかったが、本作ではそれぞれ独立したキャラになったお陰で、どちらも同じチームに入れての使用が可能となっている。 ロバート・ガルシア/タクマ・サカザキ/椎拳崇の3人にも『2000』ベースの裏キャラクターが追加。ロバートはいわゆる「タメキャラ」で、拳崇は超能力が使えない時のスタイルになっている。タクマは表が性能が大きく変更された無印ベースなのに対して、裏はそれ以前の性能がベースとなっている。 ボスキャラクターに関しては、到達時の条件に応じて、前述したネスツ編の各作品に登場する中ボス及びラスボスの計4人のうち1人が再び立ち塞がることとなる。さらに別の条件を満たしていると、先程のボスを倒した後に、無印でラスボスだったオメガ・ルガールが隠しボスとして登場する。 その一方で家庭用無印『2002』で追加されたキャラクターのうち2~3人(ゲーニッツ、ギースとナイトメアギース)はネスツ編に登場すらしていなかったため、本作AC版ではプレイアブルではないばかりか敵としても登場せず、家庭用限定のおまけ要素的な参戦に留まっている。 以上、参戦キャラクターを総括して言えるのは、ネスツ編の総まとめとしての本作という側面である。これはそもそも無印『2002』がそういう要素を帯びており(その筈であり)、リメイクに当たって『2002』の価値を拡大したものといえる。 KOFシリーズ本編は基本、複数タイトルを跨いで進行する一連の「ストーリー作品群」と、ストーリーがないおかげでストーリー上で死亡及び消滅したキャラクターなども出せるまとめとしての「お祭り」作品、という流れになっている。つまり『 95』~『 97』で描かれたオロチ編のお祭り作品『 98』と同様に、『 99』~『2001』で描かれたネスツ編のお祭り作品『2002』ということである。しかし、『2002』はオロチ編とネスツ編の集大成という形をとっていたため、ネスツ編初登場や通しで登場していたキャラクターが選出されず、ボスもネスツ編と無関係なオメガ・ルガールのみであった。要するに、2002は本作『アンリミテッド・マッチ』によってようやくネスツ編単独としての総まとめとして完成した、とも形容できるのだ。これは『 98』及び『 98UM』の関係にも同じことが言えるが、それは当該項目に委ねる。 そしてキャラ選出において最後に、本作唯一の新キャラクターであるネームレスは、ネスツの改造人間。彼の声は現在も多数の作品で活躍中の小野大輔氏が演じている(*5)。 このキャラクター、言わば本作の「顔」として設定されたものだが、その性能は『2001』及び無印『2002』に登場したK9999とほぼ同一。一部使いづらい通常技がいくつか書き直され、使い勝手は向上している。 K9999は端的に言うと大友克洋氏作のマンガ『AKIRA』の主要キャラクター「島鉄雄」に台詞や動作などが極めて酷似しており、権利上問題があることは直接的でないながらSNKプレイモア側も認めるほどの代物だった。公式サイトや書籍で顔イラストが掲載されていない、などの扱いを受けていた。ゆえに、要は大人の事情から代替として生まれたのがこのネームレスということになる。 ちなみにK9999は後の『THE KING OF FIGHTERS XV』において、性能や挙動はほぼそのままキャラ名をクローネンと変更し、技名や台詞から『AKIRA』要素を排除して再登場している。このクローネンは炎を扱えるなど自分の力をK9999時代よりコントロールできているという設定になっており、技の演出が若干ネームレスに寄せられているが、逆にネームレス本人のほうはソシャゲを除く『2002UM』以外のシリーズでは未登場である。 対戦バランス システム及びキャラクター性能の大幅調整。 「全キャラクターの体力/ジャンプまでの動作/緊急回避性能の均一化」「通常投げ外しの弱体化」「MAX発動時すべての超必殺技がどこでもキャンセルできる」「タメ技はMAX発動時、タメなしでどこでもキャンセル可能(*6)」などの調整によって、システムレベルで各キャラクターの性能の平均化調整がなされている。 キャラクターの性能も大幅調整されており、新技も多く追加。無印『2002』では強キャラクターとされたビリー・カーンやチョイ・ボンゲやキムもきっちり調整を受け弱体化されている。またお手軽と言えないが猛威を振るったアンヘルの永久連続技なども当然削除。その他、変更点に関しては多すぎて枚挙に暇がなく、全キャラクターがその影響を受けている。 無印もう一つの新要素である上位必殺技「MAX2」もテコ入れされた。性能やコマンド入力が特殊すぎて少々使いづらく、いまひとつ戦術に組み込みづらかった存在だが、本作では性能やコマンド入力を使いやすく調整され、使用機会が条件に見合っていないキャラクターに関しては当該技を普通の超必殺技へ格下げし、新たなMAX2を追加した。 また演出面も発動時にキャラクターの顔のカットインがあらわれ、終了時に背面の特殊背景がガラスのように割れる、という流れとなって強化されている。 以上、抜本的な調整がなされた本作であるが、そのゲームバランスはKOFシリーズの過去作と比べても極めて良好であると言える。無論、その中でキャラクター間の強い弱いは存在するものの、全体を破綻させるほどの要素は存在しない。多くの追加要素を盛り込みながらも、公平に見てバランスの良かった『2002』の美点を継承している断言して構わないであろう。 CPU専用及び家庭用のみのボスだが、『 99』のボスキャラクターであるクリザリッドは、エンド・オブ・エデン(MAX版超必殺技)をフルヒットさせることが不可能で、最初の火柱とその後の突進攻撃のどちらかしか当てられないという残念な仕様だったのだが、今作では改善されフルヒットさせることが可能となっている(*7)。 優れたキャラバランス 前述の通り、テコ入れされてさらに完成度が向上したシステムバランスに加えて、キャラバランスも先程のキャラ選出に記したように、元々キャラ数を多く抱えているKOFシリーズ中最多を誇るキャラ数だが、それでいてバランスもそこそこ良好。勿論人間の仕事である以上、キャラの間で強弱の差はあるものの、対戦が成立しない程の組み合わせは存在せず、元々システムも整っており、何よりキャラ数を考えたら奇跡とも言える。 強いと言われるのは以下のキャラクター。 目玉キャラであるネームレスはゲージさえあれば小技から即死までゆける火力の評価が高い。3番目の大将として有用である。 ネスツ編の主人公であるK は意地を見せて?か、技構成のバランスがよくどれも高性能。文句なしの最強キャラと言う声も。 藤堂香澄はジャンプ攻撃の性能が極めて高く相手を崩しやすい。またコンボ火力が高い。接近戦は鬼の一言。 この2キャラにクーラ・ダイアモンドもしくはキングを加え「4K」と称される。4キャラともゲージ依存の低さから先鋒か中堅向けで、この4人のうち2人からネームレスに繋ぐのが定石といえる。尚、闘劇覇者はK とネームレスに加え雛子を起用し、準決勝から雛子で6タテという偉業を残した。すもうパワーにはまいったな!! 逆に弱いといわれているのは乾いた大地の社、メイ・リー、ヴァネッサ、マキシマ、チャン・コーハン辺りと言われるが、それぞれ固有の強みは十分にある。 また、現在では修正されたため完全に蛇足になるが、最初に発売されたPS2版初期版では壊れ気味なほどに大門やユリの評価が高かったが、アーケード版以降ではしっかりと下方調整が入っている。 演出面 背景、BGM、キャラクターイラストの完全刷新。 『98UM』とは違い、背景は総リメイク。無印『2002』における「浮いた」ものを全て捨て、きちんとキャラクターグラフィックとマッチするものとなっている。各ボスのステージもきっちりとリファインされており、クローンゼロとイグニスステージについては元ステージの建造物デザインを活かしつつカメラアングルや戦闘位置が変更され、実質完全新規となっている。 PS2版2作品ではほぼ全て新規の3Dステージになっている。それ以外のアーケード版やXBLA版、Steam版、PS4版ではステージが2Dレンダリングに変更されたが、ネームレスの専用ステージ、および一部のステージの別バージョンが追加されている。 BGMも音色・音質ともに批判が多かった無印のものから、新BGMや過去作BGMの新アレンジに全て差し替えられている。無印に比べ性能が向上劇的に向上したハードのおかげで音質向上・豊かな音色が使えるようになったことも伴って、ユーザーからはおおむね高評価。特にイグニスの新テーマである『Save the Universe』はRPGのボス戦かと思わされるほどの壮大な曲調を誇る(*8)。 本作のBGM担当は、歴史的にSNK~SNKプレイモア作品のBGMを手がけていた社内サウンドチームである「新世界楽曲雑技団」によるものではなく、当時音楽制作会社のツーファイブに所属していた浅井真氏、小西輝男氏、福田康文氏が手掛けている。 キャラクターイラストは癖の強い無印のノナ氏のそれから、ヒロアキ氏による過去作のイメージを引き継いだそれに変わっている。ノナ氏のイラストはクオリティそのものは高いもののかなり極端なデフォルメやアレンジが多く、歴史あるタイトルのユーザーにとっては受け入れがたいものがあるという批判が多かった。それに比べ、ヒロアキ氏は画風も今風かつ癖が抑えられており、ユーザーからの反発は少ない。 以上、演出面で本作は紛れもなく良くなっていると言える。本Wikiにある無印『2002』の記述を見てもらえばわかるが、これらの要素こそが『2002』に対する大きな批判点であったのだ。これを全て刷新してきたSNKプレイモアは、即ち『2002』の悪評判を十二分に把握していたということであろう。これは『2002』の欠点を克服した、と言える。 その他 PS2版2作品ではオリジナルである無印『2002』の家庭用ネオジオ版がそのまま収録された「ネオジオモード」が存在している。詳細を後述するK9999ももちろん使用可能。 このネオジオモードはXBLA版やWin/PS4版では省かれている。 あくまでネオジオ版の再現であるため、PS2単体版無印『2002』の追加キャラクター5人はこちらには登場しない。 家庭用ではトレーニングモードなど家庭用格闘ゲームには普通に搭載されるモードの他、指定された条件(*9)をこなすチャレンジモードなどがある。 PS2版2作品のみ、本作や『2002』のイラストを鑑賞できるギャラリーモードや、カラーエディットも収録されている。 まとめると、キャラクターの選出では『2002』の価値を拡大し、調整面では『2002』の美点を継承し、演出面では『2002』の欠点を克服した良リメイク――それが本作である。 批判の余地がないわけではないが、まずもって各要素が少なくとも及第点に達した、隙のない作品であることは間違いない。これはKOFシリーズの中でも比較的珍しく、名作とされた『2002』をリメイクするというスタッフの心意気が十二分に感じられる出来となっている。 賛否両論点 『2002』自体のゲーム性 当然ではあるが「どこでもキャンセル」「クイックMAX発動」等でコンボ要素に重点を置いたゲーム性は変わっておらず、やはり好みは分かれる。 しかも本作は無印『2002』からどこでもキャンセルがさらに強化されており、特に「必殺技から(MAX)超必殺技へキャンセルして出す」行動がMAX発動の成否問わず、スーパーキャンセル扱いになっていてゲージが余分にもう1本必要になっていた無印とは異なり、本作はMAX発動中ならば前述のキャンセル行動もどこでもキャンセル扱いになった点(=キャンセル分のゲージを消費する必要がない)が大きい。 このため、特にゲージが最大5本まで溜まる大将メンバーに置くキャラは、ゲージフル活用によるどこキャンコンボでかなりの火力を引き出せるキャラを選ぶのが定石とされており(主にネームレス、裏タクマなどが該当)、かつそのようなキャラではどこキャンコンボの練習が必須と言われているせいでより敷居が高くなった傾向が強い。一応本作は無印とは異なり、MAX超必もMAX2もMAX発動を経由しないで出せるようになったが、その場合は未発動の代わりにさらに1本のコストが追加されて結果ゲージが計3本も必要になってしまうため、やはりMAX発動とコンボを絡めてそれらのゲージ消費技を出せるか否かでは当然ゲージ効率において大幅に差が出てきてしまう。 とはいえ、無印もそうだが、超必なら必殺技からのキャンセルでさえなければ発動の成否問わずゲージ1本で済む上、それ以外にも各種ガードキャンセルやクイック緊急回避と、ゲージの使い道は様々なものが用意されているし、どこキャンやクイックMAXとの相性の良し悪しは各キャラの間で大きく分かれているのもそのままではあるものの、逆に言えばどこキャンやクイックMAXとの相性がそこまで良くないキャラは覚えることが少ないとも言い換えることができる上にそのようなキャラが決して弱いとも限らない為、必ずしもどこキャンとクイックMAXが絶対の存在とは限らない。 本来の想定通りの性能となった荒れ狂う稲光のシェルミーの「УНМЭЙ НО Я (運命の矢)」 無印では落雷の時点で両者共にロックが解けていたためお互い共にギリギリ緊急回避が可能で、さらにオリジナルでは攻撃範囲が画面の左右どちらかだった(*10)が、今作では回避不可能になり相手か自分のどちらかをサーチして必ず命中するようになった。 本来想定された「ギャンブル技」にきちんと修正され、一か八かで相手に大ダメージを狙えるようになったが、結果として知識があればギャンブルから逃げられるという利点は消えた。 また、MAX2の使用条件のひとつが自身の体力減少時であるため「1/2の確率で自分に当たれば即死」というリスクの高い技でありながら、相手に当たった時のダメージは4割程度のままで据え置きであるため、使い所の難しいロマン技であるという点は変わっていない。 なお、本作ではこの技で最後の相手をK.O.すると特殊勝利メッセージが出るという要素が新たに追加されている。 問題点 最初にPS2で出た初期版では、致命的でないながらも目立つバグが多数存在し、対戦バランスを破綻させている性能を持ったキャラクター(特に大門とユリ)もいた。 これはその後アーケード版やPS2の闘劇ver以降の移植版では概ね修正された。 ただしバグに関してはその後も修正されていないものがある。返す返すゲームを破綻させるほど致命的ではないのが救いか。 条件が厳しくなったエンディングとやや不親切になったCPU戦 本作は各デフォルトチーム毎にすら専用エンディングが用意されていなかった無印『2002』とは異なり、各デフォルトチームは勿論、特定の組み合わせで見ることができる特殊エディットチームのエンディングも大量に追加されたのだが、そのエンディングを見るための条件が過去作より厳しくなってしまっており、特に同じリメイク作『 98UM』と比較すると顕著。 その条件とは「各デフォルト及び特殊エディットチームで、隠しボスのオメガ・ルガールを倒す」というものだが、このルガールを出現させるための条件がかなり厳しく(「ノーコンティニューでかつラスボスの各ネスツボス戦勝利までに3ラウンド分までしか負けられない」というもの)、しかもルガールのアルゴリズムは超反応だが比較的パターンにハメやすく過去先より良心的難易度だった無印とはあまり変わっていないものの、各性能がかなり強化されているため(防御力が無印の彼やネスツボス勢よりもさらに硬くなり、通常投げが投げ外し一切不可に、なんでも判定が追加された技が多い、など)折角追加されたエンディングを見るだけでもかなりの苦労とプレッシャーを強いられる上に一回のミスで水の泡となってしまう。さらにルガール戦に限りコンティニュー不可。 加えて基本的にネスツボス以外の各CPUのアルゴリズムは無印とは変わっていないものの、無印にあった、ボス戦手前以外のステージは2チームから相手を選択できた「CPUチーム選択」も廃止されてしまっている。このため無印である程度は苦手なチームを回避できたのも不可能になってしまい、よりルガール出現条件を厳しくしているとも言える。特に無印から3人とも超反応で強かった「 97(スペシャル)チーム」の強さは相変わらずなため、条件のためには避けたいところだが....。 またラスボスであるネスツボス勢も、全体的に元の登場作よりは緩めの難易度であるものの、やはりボスだけあってそこそこの超反応と高性能を有しており、簡単という訳でもない。 特にイグニスは元の『2001』とは異なり永久こそ使ってこないものの、新たに追加されたMAX2を使ってくることがあり、これがガード不能で回避も困難な上にCPU版は威力も絶大な為、終盤で逆転されて負けてしまうこともザラ。幸いネスツボスの出現条件は直前のステージ6のCPU3人目をどうフィニッシュしたかで決定され、MAX2=イグニス、MAX超必殺技=オリジナルゼロ、超必殺技=クローンゼロ、それ以外=クリザリッドとなっているため、MAX2以外で倒せばイグニスルートには進まないので、条件をしっかり把握しておけばイグニスを避ける事は簡単。戦ったネスツボスが誰かはルガール出現条件に問われない。 無印『2002』はお祭り作品でありストーリーがなかったが、本作もエンディングまで特にストーリーは存在しない。そこで問題になってくるのが、オリジナルキャラクター・ネームレスの件となる。 ネームレスは、参戦に至るストーリーや彼の解決すべき問題が詳細に設定されているものの、前述の通り本作をいかにやりこもうともストーリーは展開しない。つまり彼の行く末や恋人イゾルデ(*11)の生死など、設定上張られた伏線などは作中で一切回収されず、肩透かし感は否めないのだ。 本作以降のシリーズ作で回収されることを期待したいが、そもそもネスツ編は前述した通り無印以前に話が完結しており……微妙なところではある。 後にモバゲータウン内において展開されたTHE KING OF FIGHTERS バトルフェスタ(サービス終了)にてネームレスの設定資料が公表され、その中でイゾルデの生死が判明した。その内容は「K と同様に片手に炎を制御するためのグローブをはめているが、それはかつての恋人の変わり果てた姿である」というもの。 家庭用限定の隠しボス扱いとなるキャラがネスツ編に全く関わっていないナイトメアギースであることに疑問を持つプレイヤーは多い。 「ネオジオ博士のお気に入り」だという噂があるが、実際は不明。 ギースは家庭用無印『2002』の追加キャラクターではあったが、当時は特にボス枠ではなかった(*12)。 一応、同じく無印をベースにした作品である『NEOWAVE』の最終ボスもギースだったが、そちらは若い姿の方だった。他にギースが最終ボスを務めたKOFはGBAの『THE KING OF FIGHTERS EX NEO BLOOD』もある。 『2002』と比較するとK9999とツキノヨルオロチノチニクルフイオリ(暴走庵)が非参戦。 このうちK9999は性能のみネームレスに引き継がれており、またPS2版のネオジオモードでも一応使用できる。 暴走庵についてはレオナのように試合中に変身する案も考えられてはいたものの、「庵はレオナと違って制御できているわけではないので自ら暴走するのは不自然」といった理由や、ゲームバランスを考えた上で今作での参戦は断念されたとされる。 PS2版二種類のネオジオモードでも当然登場しないため、『2002』版暴走庵が使いたい場合は無印PS2版かXbox版を買うしかない。 また、前述の『NEOWAVE』の方に登場していた柴舟と若ギースも本作にはいない。もっともそちらは名目上別タイトルのため仕方ないと思われる。 見れば見るほど手抜きを感じる背景 確かに継ぎ接ぎや粗さが目立っていたせいで出来の悪かった無印より見違えるほどに綺麗になり、背景キャラもネオジオオールスターとなっているが、その多くは登場キャラのグラフィック改変や過去作の流用であり、シリーズに慣れ親しんでいる人ほど既視感を覚えやすい。 特に日本・高校ステージが顕著なのだが、背景のちょっとしたモブもラモンやマチュアの勝利ポーズと同じような動作をしている。 他にもADKキャラが節操無く配置されている点、お祭り作品であるせいかネスツ編がモチーフなのに全体的に大半のステージの雰囲気が明るすぎる点も指摘される。 その一方クローン研究施設ステージなど、ボスステージ用の背景は総じて好評なリファインが行われている。このことから、通常ステージの明るい傾向は意図した構成であるともとれる。 BGM選曲 新曲と、旧曲のアレンジ版の完成度も際立っている本作だが、後者の選曲は『 98』以前の曲が多く、「Tears」「Beauty and the Beast」などネスツ編の曲は意外と少ない。 せっかくの機会なので用意して欲しかった要望もある。 総評 『2002』の評価点の受け継ぎや欠点の修正はしっかりと行われリメイクとして、またバランスも良好でキャラ数も多いことから一個の格闘ゲームとして、極めて高い水準でまとまった作品と言える。 同時に本質的には『2002』の特徴を受け継ぎ、またもっと俯瞰すれば紛れもなく『KOF』シリーズ中~後期のゲーム性の継承者であるため、どちらかといえば個人の好みの範疇で拒絶感のでるユーザーがいてもおかしくはない。 つまるところ、長寿シリーズである『KOF』にひとつ傑作が追加された――という評価が妥当であろうか。 対戦ツールとしてやりこむに足る格闘ゲームとして、今でも巷のゲームセンターや各々の家庭とオンライン、そして大会を舞台に、白熱した勝負が繰り広げられている。
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THE KING OF FIGHTERS 2001 【ざ きんぐ おぶ ふぁいたーず つーさうざんどわん】 ジャンル 対戦格闘 対応機種 アーケード(MVS)、ネオジオ 販売元 【AC】サン・アミューズメント【NG】プレイモア 開発元 ブレッツァソフトイオリス 稼動開始日 2001年11月15日 判定 ゲームバランスが不安定 ポイント 従来のシリーズから全体的な品質の低下投げっぱなしのストーリー公式黒歴史キャラ「K9999」キャライメージ崩壊のイラスト調整不足を通り越して穴だらけのバランス格ゲーの歴史に残る凶悪キャラ「フォクシー」本作から後継会社へ。むしろ出たこと自体が奇跡 THE KING OF FIGHTERSシリーズ THE KING OF FIGHTERS 2001 ストーリー 概要 キャラクター システム 問題点 対戦バランスの調整不足 CPU戦の難易度 ストーリーに関する批判 描写・演出面 その他問題点 賛否両論点 評価点 総評 余談 SNKの版権と各後継会社について 問題キャラ・K9999 移植(ネオジオROM以外) ストーリー 『ザ・キング・オブ・ファイターズ2000』開催中、衛星兵器ゼロ・キャノンにより1つの街が消失した。 これは人工衛星の落下事故と報じられ、各国の新聞の一面を飾った。 何らかの事故がつきもののK.O.F.は中止の声も少なからずあったが、皮肉なことにこのいわくつきの格闘大会は再び人気を取り戻していく。 それは、97年の大会と同等かそれ以上に過熱していった。 世界規模で行われるこの大会だったが、懸念すべき事実もあった。大会にエントリーした、ネスツチームの存在だ! 大会主催の真の目的は?今年も、あの惨劇が繰り返されないという保証はなにもない… 概要 SNKの対戦格闘ゲーム『KOF』シリーズ8作目にして、ネスツ編完結編。 本作は旧SNK倒産後でその年の年内に、その旧SNKの版権(知的財産権)が、プレイモアを始めとする後継会社(企業や版権周辺について詳しくは「余談」の項目にて)に受け継がれた後に発売された、その後継会社における新規ゲームの第一弾。 本来なら旧SNK倒産直後という時期もあって出るはずが無かったKOFの続編であるが、韓国のイオリス社が旧SNKスタッフのいる会社ブレッツァソフトに出資することで実現した(*1)。以上のような事情や状況下に短期間で開発、発売されたこともあり、前作までは一貫して夏に発売・稼働開始していたが、本作はシリーズで初めて秋に稼働開始したことで伝統が途切れ、以降は作品ごとに稼働開始の時期が異なるようになる。 なお8作目ではあるが、OPではこれまでのネスツ編同様、ドリームマッチの『KOF 98』を除いて「EPISODE 7」と銘打たれている。 キャラクターイラストは前作までの森気楼氏が前作『2000』を最後にカプコンへ移籍したため、新たにノナ氏が担当している。 キャラクター 新キャラには * マークを、復活キャラには * をつけている。 主人公チーム K マキシマ ウィップ 麟 日本チーム 草薙京 二階堂紅丸 大門五郎 * 矢吹真吾 庵チーム 八神庵 セス ヴァネッサ ラモン ネスツチーム クーラ・ダイアモンド フォクシー * アンヘル * K9999 * 餓狼伝説チーム テリー・ボガード アンディ・ボガード ジョー東 ブルー・マリー 龍虎の拳チーム リョウ・サカザキ ロバート・ガルシア ユリ・サカザキ タクマ・サカザキ 怒チーム レオナ・ハイデルン ラルフ・ジョーンズ クラーク・スティル ハイデルン * サイコソルジャーチーム 麻宮アテナ 椎拳崇 鎮元斎 包 韓国チーム キム・カッファン チャン・コーハン チョイ・ボンゲ メイ・リー * 女性格闘家チーム 不知火舞 キング 李香緋 * 四条雛子 ボスキャラクター ゼロ(オリジナル) * イグニス * 本作も前作『2000』に引き続き、新規参戦の客演キャラクターが1人も存在しない。 キャラクターにおいて、エディット専用枠が初登場した『 97』以降としては、初めてエディット専用枠が登場しなかった作品となった(シリーズ全体を含めたら『 96』以来)(*2)。 中ボスとして登場する本作のゼロは、前作『2000』に登場したクローン体のオリジナルと言う設定で、専用ストライカー3人(クリザリッド グルガン 龍)とのチームを組んでいる。 最終ボスはイグニス。こちらはストライカーを持たずに単独で出場する。 システム 前作に引き続き4人1チームだが、出場キャラとストライカーを自由に編成できるタクティカルオーダーシステムが導入。 このシステムにより、戦闘に出せるメンバーの人数が1~4人までの可変となり、KOF初の4on4バトルが実現され話題を呼んだ。 パワーゲージの最大ストック数はストライカーの数+1本。ストライカー数が多いほど短く(溜まりやすく)&最大ストック数が多くなる。 ラウンド総数やダメージ補正も彼我のメインメンバー数に応じて変化する。 なお、CPU戦でのCPU側は、ボス2名を除き、戦闘メンバー3人+ストライカー1人の組み合わせで固定されている。 MAX超必殺技は2本ゲージを使用していつでも発動可能に。本来の消費ゲージ+1本でスーパーキャンセルも可能。 ワイヤーダメージやどこでも判定の追加。 『 99』『2000』にあったカウンターモード及びアーマーモードは廃止。 シリーズの中でも本作はカウンターヒットのダメージ上昇幅が大きい。その代わりなのかこの作品のみカウンターヒットのテロップ表示がなく、画面が一瞬フラッシュするだけなので追い討ちするためのヒット確認が難しい。 通常投げはダメージが非常に低くなった代わりに投げ抜けが困難に。 代わりにコマンド投げの威力は従来より高め。 気絶のシステムが廃止された(*3)。 前作の「アクティブストライカー」は「キャンセルストライカー」へと変更された。 ストライカーボムは削除され、呼び出しは1回(1人)につきパワーゲージ1本消費する方式に変更。 ストライカーを呼び出せる状況が「こちらの攻撃が相手にヒットし 地上仰け反りorガード状態 になっている」のみ(例外有り)と、前作より厳しい制限がかかり、ほぼ攻撃専門のシステムに。 さらに、ストライカーヒット後追撃を入れた場合、ダメージとゲージ増加量に大きな補正がかかるようになった。 条件次第でストライカーを2人~3人と連続して呼び出すことができる。 その他 この作品から、シリーズ恒例の演出であった「控えていた次のキャラクターが登場する際に、画面外から飛んでくるシーン」が廃止された。 控えのメンバーが『 97』以来に名前ではなく顔アイコンで表示されるようになった。また戦闘中のメンバーも名前が表示されず顔アイコンのみで表されるのも本作が初。 半ば仕様となっていた飛び道具をガード不能にするバグが削除された。 『 99』や『2000』で採用されていたバトルアビリティーなども撤廃され、『 98』までの従来のスコアシステムに戻る。 既存の必殺技の多くに調整が入った。京、紅丸などはそれが顕著。 複数のキャラに、インストカードに載らない隠し超必殺技(MAX超必殺技)が追加。その多くは演出、コマンド、性能が独特なものとなっている。 ランキングにおいて、『 97』以来に「キャラクター使用率」が復活。しかし以後もまた削除され、その後UM二作(『 98』『2002』のリメイク)で採用されたのみ。 問題点 対戦バランスの調整不足 旧SNKが倒産し後継会社発足直後という体制すら整っていない中でしかも納期(年号通りの年内)以内の発売・稼働に無理にでも間に合わせる急ピッチでの開発だったせいで、対戦バランスが調整に時間をまともに割く余裕すらなかったことがあからさまに解る出来となっている。以下に本作のバランスを壊しているキャラクターや永久コンボの代表例を紹介する。 「フォクシー」 シリーズ通して比較的不安定気味なバランスに慣れていたファンをして「KOF史上最強キャラ」「存在自体がバグ」とまで言わしめたキャラクターであり、対戦バランスを完全に崩壊させてしまう程の性能を持つ。 異常に強い空中ふっとばし攻撃、強力な連続技持ちで場合によっては単独即死コンボ可能、小足を連打するとガード不能になるバグ、対空技にほとんど隙がなく完全無敵、地を這わない飛び道具は全て潜り抜けられる等々、対戦システム上弱点といえるものがほぼ無い。 一応、初心者でも猛威を奮うことができるようなお手軽なキャラ(*4)ではないものの(*5)シリーズ過去作や格闘ゲーム経験者でさえあれば使いこなすのも割合簡単で、このような使い手にかかればちょっと練習するだけで猛威を奮えた。 その強さたるや、大会での使用禁止は勿論、一般のゲームセンターですら「フォクシー使用禁止」の張り紙が珍しくなかった程である。 永久連続技永久なので当然だが決まればミスしない限り即死であり、殆ど全ての格闘ゲームで対戦バランス崩壊の要因になるもの。他のシリーズ作品と比べても多く存在してしまっている。 画面端でダウンした相手に、包のしゃがみ前Dやキムの覇気脚が入り続ける。 雛子:(屈B→遠立B)×n。 クーラ:(強レイスピン→スタンド→近立C)×n。 他にもメイや、庵なども永久コンボを持っている。 これらの永久のほとんどは、ごく初期の時点で発覚した。特にクーラの永久は基本コンボから簡単に派生できるため実戦的で決める機会が多く、入力も簡単なため、やろうと思えば中級者でもほぼ確実に即死に至る。バランス崩壊キャラ・技が多々見られる本作の中でも、フォクシーと並んでよくわかりやすい例として出されるほど。逆に包やキムの永久はレシピだけ見れば非常に簡単だが、入力が間に合わないとそこで途切れるため、実際に即死まで至る例は案外少ない(しかも包は画面端へ運べる技に乏しく、強制ダウンを奪える技がDの通常投げしかないため、実戦では決まりにくい)。庵やメイは連続技のレシピ自体が高難度であり実行できるプレイヤーが少ない。 特殊な例としては、アンヘルが「画面端で、{アンチェインフィニッシュ技のクラウン アンダー ザ スカイ→浮かせた相手に弱レプンカムイ(空キャン)→8A→6B}×n」というレシピの永久を持つが、これは本作の連続技の中でも屈指の高難度であり、実戦で完走させようものなら拍手すら起こる事があったほど。 一方でこのアンヘルは食らい判定がおかしく、京、大門、マキシマ、テリー、アンディ、クラーク、チョイ、メイ達からは逆に専用の永久コンボを貰ってしまう。しかもこちらは画面端で同じ技を出し続けるだけで出来るために遥かにお手軽。 にもかかわらず、アンヘル自身の技の性能は総じて高い。このキャラだけの独自仕様となる「アンチェインサークル」を使った連携が非常に多彩で、複雑で技量がいるものの使いこなすとかなり強力。加えて先程記した通り、屈指の高難度だが画面端での永久持ち。なのでキャラランクはむしろ高い方である(それでも本作屈指の強さのフォクシーやクーラ、ハイデルン、麟辺りと比べると霞んでしまうのもまた事実だが)。 永久やフォクシーを抜きにしても、技の仕様や性能の調整が行き届いているとはお世辞にも言い難い。 特に例に挙げられるのが『 98』以来久々の復活を果たしたハイデルン。過去作では必殺技が高性能な代わりに溜めを必要とするものが多く動きが制限されがちで、出したい時に出すには慣れと経験が必要なタメキャラだったのだが、本作ではなんと波動昇龍型のコマンドキャラに変貌。 結果「タメコマンドだからこそ割りに合っていた性能の高い技を、いつでも出し放題」という、明らかに誰でも「リスクとリターンの釣り合いが取れておらず、強すぎる」と首をかしげたくなる仕様で登場しており、さらに各技の性能も「弱体化されてないどころか、むしろ強化されている」ため(クロスカッターが『 98』同様の高い位置を飛び、非常に攻撃判定が大きい上に隙まで小さくなっている、ムーンスラッシャーに長い無敵がついた…など)、永久コンボの類は一切ないものの、かなり際立った強キャラとなっている(それでもフォクシーに比べたら霞んでしまうのだが…)。勝利メッセージでも「私にブランクはない」と発言しており、そういった意味では間違っていないかもしれないが…。 本作をプレイしたファンの間ではコマンデルン(コマンド+ハイデルン)、またはコマデルンと呼ばれることもある。 結局それらの技については本作限りとなった。後の作品では一部技を除き、従来通りのタメコマンドに戻されている(*6)。 これらバランス面での問題点は、PS2単体の移植版で幾つかが調整を受けて弱体化 仕様の変更や廃止がされた。 例:フォクシーの小足(しゃがみB)連打でガード不能になるバグが修正・削除されたり、クーラのレイ・スピン絡みの永久コンボが削除されたりなど。それでもフォクシーを始めアーケード版で驚異の強さを誇っていたキャラは基本的に相変わらず驚異の強さではあるが、多少はアーケード版よりは改善されたとも言える。 CPU戦の難易度 ボスに辿り着くまでは「難しすぎず易しすぎない」楽しませるためのバランスとなっており特に問題ないのだが、ボスが凶悪すぎる。 ラスボス「イグニス」 KOFは(主に初期を除いて)基本的にCPU戦の道中の難易度が難しすぎず易しすぎない絶妙な調整で安定している一方で、ボスキャラが『(CPU専用ということもあって)かなり強力な性能またはAIを持つ』のが恒例ではあったが、本作のラスボスである「イグニス」は その双方において最強 と言われる。 追撃判定が残ったまま吹っ飛ばす技を多数所持+ほとんどの必殺技から必殺技にキャンセル可能=波動拳コマンドの技を連発するだけで永久(即死)コンボになるなど、各性能の高さはシリーズ内でも次元が違うレベルに至っている。しかもAIも永久を使用してくることがある。 パワーゲージは表示されてないが、『 96』のラスボスのゲーニッツみたいに「超必殺技使い放題」の無制限というわけではなく、単に表示されてないだけで内部でカウントはされている(*7)。しかしゲージの溜まり具合が異常であり、一例を挙げると「チェーンブレイド・サジタルエッジスライス(昇龍系の対空技)一回でゲージ二本分も溜まる」という、明らかにゲームバランスを度外視したレベル。結局のところ「ゲージ制限があるように見えて、無いようなもの」と言える。そして超必殺技の性能も非常に高い。超反応により一瞬の隙を突かれて画面暗転から超必殺技で葬られたプレイヤーは数知れず。また、中ボスのオリジナルゼロも同様に、異常にゲージが溜まり易い。そしてゲージが見えない。 パラメータもあからさまに高い。特に防御力が凄まじく、タクティカルオーダーで「1人 3ストライカー」または「2人 2ストライカー」にしないと与えられるダメージは雀の涙になってしまう。こちらのキャラが負けると当然ながら体力回復もあるので、戦う人数を増やせば増やすほど厳しくなるバランス。しかし、だからといって1人出場だと、一度立ち回りをしくじるだけで即終了まであるのでリスキー極まりない。 一応、過去作でも凶悪なまでに強いされてるボス達の例に漏れず(*8)、攻略パターン(所謂「ハメ」)がないわけではない。例を挙げると、クーラやヴァネッサ、チャンなどダウンを奪える下段スライディング技を持つキャラは、イグニスがその技を何故かガードしないという弱点を突けるので、それだけでイグニスをハメ殺せる。また、キングに至っては、二連射式飛び道具のダブルストライクをなぜかイグニスがガードしないという特徴があるので、それを出しているだけで簡単に勝ててしまう。前述の4人以外のキャラは、一度ダウンさせれば、イグニスの起き上がりにあわせてハイジャンプでイグニスを飛びこすとほぼ確実に技を出すので、その隙を突いて裏から攻撃してダウンを奪う…の繰り返しで勝てる。他にも有効なのは、接近してから後転をするとダッシュで寄ってくるので、そこにダウン可能な突進系の技(拳崇の龍連牙地龍など)を当てる。起き上がったらまた接近して…の繰り返しであっさり倒せてしまう。しかし運が悪いかタイミングが少しでもズレると手痛い反撃を食らうどころか、最悪喰らい判定を残して浮かされた状態に超必殺技や先程で述べたような永久にまで持っていかれて、即死、なんていうことも日常茶飯事である。 キャラクターのドット絵は描き込まれており、CVには若本規夫氏を起用していたりと、凶悪すぎるAIと性能はともかく見映えはいい。また彼のBGMも人気が高い。 なお、美形デザインは出資したイオリス社からのしつこいまでの命令であった事が後年スタッフから明かされている。もっとも、これ以降のSNKプレイモアは後述のメイ・リーも含め「人気キャラを狙ったがウケずに外す」と言うことを何度か繰り返しているので、結果的に正解だったかもしれない。 ファンの一部からは彼のことを「天からお塩おじさん」と呼ぶ人もいる。これは彼が放つ超必殺技の一つ「ブルータルゴッドプロジェクト」のモーションの最後に「望み通り・・・天から堕ちよ!」と言うボイスが若本氏の発声の癖やボイスのサンプリングレートの所為か最後の部分が「 天からお塩 」に聞こえてしまうことから来ている。 ストーリーに関する批判 ネスツ編を締めくくる最終章であるにもかかわらず、従来のシリーズに比べて作中でのシナリオの薄さが指摘される。 ネスツという強大な組織を相手にしてきたネスツ編だが、今作において幹部でありボスではなかったイグニスが他の幹部とボスを粛清して組織を掌握、結果的にイグニスさえ倒せばいい状況に向こうからしてくれるという、打ち切り臭の強いシナリオとなってしまった。 主人公チームのエンディングも抽象的で簡素なもので、ようやく組織から解放され普通の生活に戻っていく際にここから人生が始まる事を指して言った台詞「俺たちの本当の戦いはこれからだ」もあって、まんま少年漫画の打ち切りと揶揄された。 完結を優先したせいで伏線の放置も多い。 サイコソルジャーチームはネスツ編だと「龍の気」に関わるストーリーを展開していたが、エンディングではネスツ側にいた龍が、ラスボスのイグニスと共にいた謎の女性のミスティを連れて「龍の気があればネスツなんてどうでもいい(意訳)」と語っている程度で、龍に大きく関わる「飛賊」も大して触れられておらず、結局謎のままで終わっている。 先述の「龍の気」など一部の要素については、後に「あるスタッフが『後で何かに使えるかも』と伏線を張っておいたが、引き継ぎを行わず退社してしまったためストーリーを展開できなくなってしまった」と開発スタッフより内幕が語られている。言うまでもなく、倒産のごたごたも影響しているようだ。KOFシリーズポータルサイトの龍の紹介ページでは、「旧SNKの倒産により、龍が生みの親の手を離れることになってしまい、開発を引き継いだスタッフが、元担当プランナーと通勤電車で会う度に設定の聞き取りを行なった」という涙ぐましい経緯が語られている。 描写・演出面 様々なグラフィックが路線変更されているのだが、ファンからは「酷すぎる」という評価が相次いだ。中でも『キャラセレクト・対戦中の顔グラ』、及び『リザルト画面でのイラスト』が特に批判の的に。 リザルト画面のイラストは、ジョーが尻出しをしている上にパンツが画面外に見切れてしまっているためもはや規制が必要なレベルの全裸に見えたり、アンディがやたらとデコを強調したり、紅丸がやたら変人扱いであったり、チャンが鼻をほじくってたりと、明らかにデフォルメを通り越してやりすぎ…というか、見るに堪えないレベルのシーンが多々存在する。 いくら格闘家になったとはいえ、ユリは『龍虎の拳』シリーズのヒロイン……のはずだが、リザルト画面では口を大きく開けて、鼻の穴を見せるという美少女キャラらしからぬ顔芸を見せる始末。キャラセレクト画面のイラストもアホ面丸出しで、ヒロインらしさは欠片も感じられない。公式絵はこちらを振り向きながら笑顔でウインクを行うというイラストでそこそこ出来がいいだけに悪目立ちしてしまっている。 シャンフェイも対戦前および対戦中の顔グラが中々に酷い。前者は中華まん(らしきもの)を食べている最中で食べカスらしきものが飛んでおり、後者は口を大きくあけたアホ面である。リザルト画面のイラストはそこまで悪くなく、むしろ出来が良い方なのだが...。 キムに至っては、このシリーズでの偽善者設定が飛躍したのか完全に悪人面になっており、リザルト画面でも偽善者そのものになってしまっている。 開発側がキャラクターをいじると言う事はたびたびあるが、本シリーズではキャラの人気も重視されているのに、『これでは単にキャラ性を損なっているだけ』と感じるファンが多かった。 リョウのようにキャラセレ・リザルト両方そこそこ評価がいいイラストもあるが、こういった評価の低いイラストに埋もれてしまった感もある。 さすがに非難が集中したせいか、もしくはイラストにあるもはや全裸にしか見えないジョーの尻出しがソニーチェックではねられたのか本当の理由は定かではないが、PS2単体移植版ではリザルト画面のイラストは全て公式イラストに差し替えられている。 また、リザルト画面にある勝利メッセージの台詞文章自体にもいくつか、明らかに文法がおかしくてちゃんと文章になっていなかったり、これまでのシリーズの設定的に矛盾していたりする点が散見される。 例:ハイデルンが「格闘技者」と意味不明な単語を使っていたり、ウィップの名付け親であるクラークが、ラルフが呼んでる(と同時に命名しようとして本人から嫌がられた)呼称の「ムチ子」と呼んでしまっているなど。(*9) 韓国市場を考慮し、スポンサーのイオリスから「韓国版アテナのようなキャラを作ってほしい」と言われて誕生した「メイ・リー」も評価が高くない。 「韓国チームのジョンがしょうもない理由(後述)で入院したため、穴埋めとして参加した正義の味方を夢見るキムの弟子」と言う設定だが、「新キャラと言う点を含めてもキャラクター的に印象が薄い」「イラストが可愛くない」「別に彼女でなくジョンで良かった」などの要素が評価を下げている。 本作のストーリーやエンディングはキムとジョンの確執に終始しており、ここでもう少しキャラを深められれば評価はもう少し高かったかもしれない。因みに、KOF発の韓国チーム(キムチーム)の女性キャラクターは『KOF XIV』のルオンを待つことになる。(*10) デザインは当時韓国で人気のあった『仮面ライダー』と『ど根性ガエル』を組み合わせた色物。日本はおろか韓国ですら人気が低いという噂もあるほど。 無論、彼女が好きなファンもいる…が、本作の評価が悪く、プレイモア以降のネスツ編『2001』~『2002UM』間にしか登場してないせいもあって、知名度やキャラの掘り下げに関しては、はっきりいって悪い。 技名には多くの元ネタがあり、担当声優繋がりでエロゲー等からも取られている。『2002』では更に加速。 これは後述のように、メイ・リー並びに『2001』に限った話ではないが。 背景やシンプルかつ明色のインターフェイスは単体として飛び抜けて悪い訳ではないが、これらも従来のシリーズに比べると劣化が見て取れるため評判は良くない。 数パターン存在する「背景にモブが沢山いる背景」はドット単位で描いているような部分が多く、影の配置がアンバランス(明色の部分が多い)で視認性が悪い。近くのモブは顔は描かれていないものの色の主張が激しく、こちらも邪魔になりがち。 ちなみに、これらの背景のいくつかは、スタッフロールでの制作者名が「?」になっている。 『2000』では水族館や大きなプロペラのある工場など、大胆かつ影の当たり方を正確に捉えた美麗な背景が特徴的であり、ネスツ編の暗さも相まって視認性・デザイン性共に高いレベルのものであった。ほぼ職人芸の域のため流石にハードルが高すぎるのもあるが。 これに関しては、家庭用移植版にて、DC版では旧作の好評だった背景をいくつかそのまま収録、PS2版では3D化してリメイク・あるいは描き直しするなどしてある程度改善された。 BGMも前作までから更に雰囲気を一転させ、全体的に暗い旋律が多いミニマル調のBGMが多くなっている。 今まで以上に地味な印象を拭いきれず、一部のファンからは「お経」「チープ」と呼ばれるなど、多くのファンに受け入れられたとは言い難い。 単曲で聴くとループが短かったり個性が薄かったりするが、曲として破綻しているものは少ない。後述のボス戦曲のほか「HIT ME!」や「無敵の炎」など、個性的ゆえ印象に残りやすい曲もしばしば。 その他問題点 バグが多いことで有名なKOFだが、それは本作でも相変わらずである。 有名なものは、メイ・リー使用時に起こる通称「ピョン吉モード」と呼ばれるバグ。 パワーゲージが3本以上ある状態で三連脚を使用し、その技中にメイ・ジ・エンドのコマンドを入力すると、画面がMAX版超必殺技使用時の反転状態になり、三連脚のような技が出た後に発動する。内容はメイ・リー・ダイナミック!のコマンドで流月臨脚を空中で出したような技となり、ヒット時は相手がフリーズし追撃も可能になる。さらにメイ・リーブレイクのコマンド(遠くでも空中でも可能)を入力すると、ゲームそのものがフリーズしてしまう。 + その他バグ一覧 庵の超必殺技・八稚女の最中に相手の体力が0になった時、追撃として出せる豺華を遅めに出して空振りさせると、相手は体力0のまま生き残る(ゾンビ状態)。 また、その状態の相手に八稚女をガードさせると、相手は行動不能になる。ゲージが255(MAX)になる事も。 同時投げを仕込んだ後、ジャンプ攻撃をキャンセルして空中必殺技を出そうとすると、必殺技が出ずにその場で宙に浮く。ジャンプしたり相手の攻撃を受けない限り、浮いたまま移動したり地上攻撃を出すことができる。 画面端でSTユリの攻撃1段目を当てた瞬間に通常投げをすると投げたキャラが空中浮遊する。 香緋でパワーゲージが2本未満の時に、ダッシュ直後に万泊後宴を決め、ACボタンを押しっぱなしにすると、そのままのポーズで横に滑っていく。 雛子も同様の条件で「がぶり寄り→大一番」を入力すると、しばらくの間相手が食らいポーズのままで行動不能になる。 ヴァネッサで残り体力が0の相手にMAXクレイジーパンチャーをガードさせると、相手は行動不能になる。 ハイデルンのD投げがなぜかクラークの声になる。 賛否両論点 非常に癖の強いノナ氏へのキャラクターグラフィック担当の変更 「画力は高いがデフォルメが強い」と評価されているが、絵師としての実力自体は問題ないレベルである。しかし、写実的な絵を描く森気楼氏に比べると非常に個性的・独創的で、今までの絵に慣れてきたファンに受け入れられたとは言い難かった。ちなみにノナ氏は、KOFに携わるのは本作が初だが、旧SNK時代からの社員の一人ではあり、かつては同社の『餓狼伝説』シリーズにおいて主にデモグラフィックのデザインを担当しており、そちらの評価は高かった。 例 八神庵 森気楼氏 ノナ氏 一因としてはスタッフ間の連絡不足があったようで「初期設定やスタッフの『こういうイメージで描いてほしい』という要望」と「シリーズを重ねるうちに確立された個性やファンの持つイメージ」のうち前者しかノナ氏に伝わっていなかった模様。 例えばロバートは「財閥の御曹司」「女性に関してはユリ一筋」と言う設定なのだが、公式ムックでは「マフィアの息子で女たらし、らしいんですけど」と発言をされている。恐らく、スタッフからの指示が「マフィアっぽい色男をイメージして描いてください」といった感じのものだったのだろう。「『あしたのジョー』の矢吹丈と『デビルマン』の不動明を足して2で割った感じのデザイン」の京については「『デビルマン』の不動明がモチーフになっていると聞いたので悪人顔に描いたら没になった」という旨のコメントをしているため、(倒産直後のゴタゴタも影響したのだろうが)ノナ氏に十分な資料が渡らなかったことが窺える。 公式ムックのスタッフインタビューでは、『 94』からスタッフとして携わってきた今作チーフデザイナーの山崎氏が「京についてはデザイナー間では(悪人顔の)没絵の方が評判が良かったのだが、森気楼氏の描いた京のイメージが定着していることもあり『行き過ぎ』と判断された」「『(お前が描いた一枚の絵に合わせたら何百枚ものドットが描き直しになるわけだが)どっちを取るんだ、分かってるのか』とノナ氏と衝突することがあった。結局包の帽子やアンディの衣装などは『こっちの方がいい』となったので数百枚描き直したが」といった旨の発言をしており、ノナ氏の描く自由な絵と、ドット絵修正の手間やファンのイメージとのすり合わせに苦労したことが覗える。 『’94RE-BOUT』の初回特典と付属した冊子のノナ氏のインタビューからもスタッフから聞き取った情報を頼りにしていたことが覗え、「『(キャラクターのイメージを)一度開発当初のコンセプトに戻そう』という方向性で話が進められていたこともあり、結果的に現在のファンのイメージとは大幅にかけ離れてしまった」と語られている。 なお、『2002』でもこの問題が尾を引いたらしく、イラストとキャライメージの乖離はさらに加速した。 急にベリーショートへの変貌を遂げたアテナ 過去作からの通例でほぼ毎回衣装が変わり、ネスツ編からは作品毎に髪型も変わっていた、KOFの女性キャラの中でも一際高い人気を誇る麻宮アテナだが、本作ではなんとベリーショート(通称ベリショ)というこれまでのイメージとは程遠い髪型に変貌。その急激な変わりぶりは特に過去作からのファンからは賛否が大きく分かれた。 勿論この2001のベリショアテナを気に入っているファンも存在するが、長年続いているシリーズでその中でも特に人気の高いキャラの一人、そして基本ストレートロングヘアであることが多かったキャラであり今回それが急にベリーショートに変わったため、ファンの中には拒絶反応を示した人もいた。 なお、髪を切ったのはこれが初ではなく、『 99』ではボブカット姿を披露しており、こちらも多少の賛否が見られた。 ちなみに本作においてスポンサーから「韓国版アテナを」という注文で作られたメイ・リーもベリーショートであり、「それとタメを張らせるためにベリーショートにされたのでは」という噂も流れた。 不評な意見も目立ったのか、本シリーズにおいては次回作以降は衣装変化は引き続き行われていながらも、髪型は『 98』以前と同様のストレートロングヘアで固定となっている(*11)。 もっとも、以降の作品でも、実在するアイドルのパロディが随所に目立って盛り込まれたりなど、アテナというキャラへの賛否両論が飛び交う状況が続くことになるのだが...。 ワイヤーダメージシステム システム自体は評価されているが、元々強い技に付加してしまったのがまずかった。 ただでさえ強いフォクシーの空中C+D(カウンターヒット)や紅丸の反動三段蹴りなどの技のリターンをさらに激増させ、バランスを崩す原因となった。 次回作以降はしっかり調整されて受け継がれ、以降のシリーズの定番となった。 タクティカルオーダーシステム ガチの対戦では攻撃力・防御力補正やゲージシステムの関連上、「[メイン2] 〈ストライカー2〉」の組み合わせが鉄板。次点で、従来と同様の形式である「[3] 〈1〉」が何とか入り込んでくる程度。 ストライカーが使えず、ゲージがたった一本しか溜まらないせいでMAX超必殺技も使えない上にそのたった一本のゲージも溜まるまでが長すぎるせいで大幅弱体化する「[4] 〈0〉」は効率が悪すぎて、ゲージ効率や攻撃力・防御力補正は目を見張るものがあるものの1人倒されただけで敗北となる「[1] 〈3〉」はあまりにもハイリスクなせいで、どちらも出番はほぼ無しとなってしまう。結果としてオーダーの自由度を広げることはあまりできなかった。 ただ遊びや手加減、CPU戦では他の組み合わせを選ぶ余地は出てくる。尤も、肝心のCPU側はボスを除き「[3] 〈1〉」の組み合わせしか使ってこないが…。 「[2] 〈2〉」や「[1] 〈3〉」は人数の少なさから、選択した側がやられると試合がすぐに終わってしまう。特に「[1] 〈3〉」同士の対戦は1Rだけで決着するので、プレイ時間があまりにも短くなってしまう。 一方で一人プレイでは乱入対策の他、練習キャラやストーリー用のキャラに重点を置くためなど少なからず役立つ事もあった。 キャンセルストライカー 呼び出せる条件や各種補正が厳しいため、前作のように適当に呼び出すだけで脅威ということは無くなり、戦力にするにはそれなりの知識と腕が求められるようになった。だがゲージを使えばストライカーを一度に複数呼び出せる事から、うまく使用する事でほぼ「1 3」限定だがリンチのようなコンボを作れる。実際に弱キャラである京も、腕さえあればストライカーで補って10割コンボ、という事ができる。公式ムックのスタッフインタビューでは「実戦でのきっかけ作りが難しければ即死コンボもありだと考えているが、ストライカーなしでも戦えるようにはバランス調整している」と語られているのだが、実際には複雑な仕組みを理解できた上級者ほど強力なコンボを扱えるということになり、初心者お断りな感が強くなってしまった。 多人数コンボも一部が強力すぎ、バランスを崩す要因に。しかも強キャラ陣は揃いも揃ってストライカーとの相性がよく、それらの凶悪さを加速させてしまった。 『 99』で導入されて以来常に賛否両論を巻き起こしてきたストライカーシステムだが、本作での評価も微妙なものに留まり、不要論を跳ね除けるには至らなかった。 もちろん、「独自の連続技を作れる自由度の高さ」「複数メンバーが一度に干渉するからよりチーム戦を前面に出した演出ができる」などの特徴もあってか、このストライカーシステムを気に入ってるファンも存在するが、やはりバランス面で対戦ツールとしての実用レベルに仕上げるのは数作品に渡って手を施しても叶わなかったようで、結局以降の作品でも導入されていない。開発期間があれば『 97』と『 98』が、『 96』までのシステムを発展・調整を施し見事に昇華させた結晶の成り得たものだったように、ネスツ編のストライカーシステムも昇華させることもできたのかもしれないが…。 評価点 一部のキャラ人選は評価されている。 旧キャラが幾らか復活し、その中でも『 98』を最後に欠場していた大門五郎やハイデルンの復活は喜ばれた。 アンヘルは性格と極めて露出の高い衣装がそこそこの人気を獲得し、風当たりの強い新キャラ勢の中で気を吐いた。声優にも富永みーな氏(*12)を起用しており、力の入れ具合は窺える。次回作以降は声優を変更されているため、「本作の声のアンヘルが良かった」というファンもそれなりに多い。 操作キャラクターの総数は40人。これは裏キャラクターを除けばシリーズ歴代最多であり、これを越える作品はリメイクを含めた場合でも2008年発売の『 98 ULTIMATE MATCH』(通称『 98UM』、『 98』のリメイク版)、2009年発売の『2002 UNLIMITED MATCH』(通称『2002UM』、『2002』のリメイク版)。リメイクを除外した場合はなんと15年後の2016年『XIV』(14)まで待つことになる。(*13) その一方で根強い人気のある藤堂香澄の不参加、ネスツ編の新キャラとして登場しつつも「アテナの幻覚を見て自ら車道に飛び込んで入院」と言うあんまりな理由で退場したジョン・フーンには非難の声も。 もっとも、KOFシリーズは「(格ゲー出身キャラが中心だが)全SNK作品のオールスター大会」をコンセプトに始まったシリーズ、つまりSNK出身のキャラなら基本誰にでも参戦のチャンスがあるとも言えることや、オロチ編以降はストーリー上で死亡・消滅した、封印されたキャラも出て来たりしたこともあって、固定されたメンバー以外の入れ替えはかなり激しく、新キャラ登場や欠場していたキャラの復活に伴い既存のキャラがリストラされることは仕方ないとも言える。 ちなみに2003年に発売された『EX2』でもジョンは事故で入院している。本作の事故の入院が長引いたと言う訳ではなく、「もう一度」入院したと言う事である。 新キャラの格ゲーキャラとしての楽しさ。 アンヘル、K9999、メイ・リー等の新キャラは癖があるもののやり応えのある独特の操作感であり、操作キャラとしての人気は高い。 ストライカーを絡めた戦法、連続技も、バランスはともかく組み合わせが非常に多彩で、プレイヤー間での研究はそこそこ盛り上がっていた。 本作で変更及び追加されたシステムのいくつかは、後のシリーズに良い影響を与えた。 ワイヤーダメージやスーパーキャンセルがそれにあたる。特に後者の仕様は本作で確立されたと言えよう。 複数のキャラに追加された超必殺技(MAX超必殺技)も、庵の豺華などは好評により以降の作品でも使用された。 基本的にシリーズ内でもあまり評価されなかったBGMだが、光る曲がないわけでもない。 特にシンプルな旋律ながら最終決戦前の緊迫感を表現している中ボス戦BGM『0』と、本作の中では派手な曲調のラスボス戦『我こそ最強』の二つは、『2002UM』で完全新規曲に差し替えられたことについて「新曲のクオリティ自体は非常に高く不満はないが、若干の寂しさを感じる」という声もあった。 これまで曲を担当していた新世界楽曲雑技団は旧SNK倒産に伴い解散しているが、本作も一応元新世界メンバーである幡谷政彦(PAPAYA)氏と幡谷希久子(KIDON)氏が曲を担当している。その影響か、本作の楽曲は初期作(特に 94)の面影を感じさせるものが多い。尚、本作から幡谷政彦氏が『2003』までメインコンポーザーを務めている。 少し気の利くユーザーへの配慮がある。 チームごとのカラーでキャラセレ画面で色分けされていたり、KO後の演出をスキップできたり、2回戦目以降のメンバー設定の時に前の設定を引き継ぐか選べたりなど。 一部の設計は後のシリーズにも受け継がれた。 そして何よりも、短期間でゲームを作り上げ後作に繋いだ事は評価されている。 会社倒産によりシリーズ継続は完全に絶望視されていた中で突貫でも作り上げ、現在に至るまでシリーズを継続させた功績は大きい。 同じ旧SNKの『餓狼伝説』シリーズも、現時点で最終作となっている『餓狼 MARK OF THE WOLVES』の続編が実は倒産間際まで開発されていたが、倒産に伴うスタッフ離散や資料消失などの影響で最新作の開発が頓挫している。本作についても資料消失の影響があったのか、多くの伏線が放置(あるいはなかったことに)されてしまったが、一応の決着を付けられただけでも奇跡的だと言えるだろう。 シナリオについても上記のように薄さや伏線放置の問題はあれど、ネスツのボスとの決着も付け、ネスツ編完結編として一応の形にはなっている。 ここで一応とはいえシナリオを完結させた事で次回作『2002』でのシナリオなしのお祭作品や『2003』以降の新章にも違和感なく移行できている。 総評 KOFシリーズは元々対戦ツールとしてよりも(これまでのうち、バランス面でも非常に優れた『 98』は例外とする)、キャラクターやストーリー、サウンドなど演出面の魅力によってファンに愛されたシリーズである。 本作は、主要な問題点であるバランスの悪さに加え、そういった良質なBGMやドット絵の表現力などが失われ、多くのファンの反感を買う結果となった。 本編シリーズ中で最低クラスの評価を受けることが多い本作だが、最低限のものは受け継ぎ、独自の光るものも確かに存在する。 バランス・ビジュアル・ストーリーどれもが問題だらけだが、一部の新キャラクターや必殺技・新システムなど、本作で生まれた新要素の中には確実にファンの心を掴み、その中には現在の最新作にも採用されているものもある。名作シリーズの後継作としては大問題だが、何もかもが否定されたわけではない…そんな表現がピッタリだろう。 だからこそ当時のKOFプレイヤー達は本作を「KOF」の新作として受け入れ、今後の作品展開に期待と不安を抱いていた。 会社やスタッフの当時の状況はもはや窺い知れないが、ここまでの完成度にもっていくだけでも並々ならぬ苦節があったのだろう。 低レベルとなってしまったが、紛れも無いKOFの正統シリーズ…それがKOF2001であった。 余談 小説版KOF2001 後に嬉野秋彦氏による公式小説「MORE THAN HUMAN(上巻)」「THE GODS THEMSELVES(下巻)」が発売され、ゲーム本編より遥かに設定を理解しやすいためこれを正史として扱うファンも多い。 特にK9999やウィップについてはかなり詳しく補足説明がされており、2人の出自に関する詳しい設定は小説版が初出である。 嬉野氏はMVS版の発売直前、大阪まで行ってスタッフの方々にいろいろとお伺いしてきたとのことで、それが大きく反映されている。特にウィップについては、あとがきにて「裏設定のような感じでウィップの出生の秘密をスタッフの方から聞いた」と語られている。 また、小説版に書かなかった裏設定として「クーラ+保護者ふたりはもともとロシア支部の人間だった」等の世に出ていない情報も存在するとブログで語っている。 ガチ対戦では先述通り「2 2」チームが多かったため1戦のサイクルが早く、オペレーターにはインカム面で好評だったらしい。 発売前には新キャラクターは「ジェラルド・コークス」「エレン」「神崎宗摩(かんざき・そうま)」「パース」の4人という誤情報が広まった。 実際の製品版とはかけ離れた完全にガセ情報であったのだが、上記のように旧SNK倒産直後でKOFの続編が出るかどうかも疑問視されていた時期であったこともあってか、不確かな情報ながら広く拡散されてしまった。 後に『THE KING OF FIGHTERS XIV』で「バース」という新キャラクター(もちろん上記のパースとは全くの無関係)が登場した事でこの事を思い出した当時のプレイヤーもいた。 発売前に、とあるメーカーの直営店でないレンタル部門管轄にて、営業所が都市圏・関東・東北・北海道合わせて一本しか入荷しないというので怒鳴り合いの取り合いにまで発展した事がある。これはレンタル部門が限界ギリギリの状態で予算削減しての結果だったが、いざ発売されると売り上げが芳しくなくたらい回しにされたという逸話がある。 韓国企業出資ということもあってかテキストに韓国語が追加、韓国チームに至ってはキャラクターボイスも韓国語で収録されている。 ただし、MVS起動時のソフトディップで特定の設定をしたときだけテキスト項目にKOREAが表示される、ボイスもテキストを変更したときに連動で変わる仕様のためほぼ知られていない機能となっている。ちなみに2002にも引き継がれている。 SNKの版権と各後継会社について 本作の販売を受け持っているサン・アミューズメントやプレイモアも、旧SNK社員が立上げた会社であり、ブレッツァソフトの起業とほぼ同時期に事業を開始している。(*14) なお、プレイモアは設立当初は旧SNKの系列会社という立ち位置であった。 そして、プレイモアは会社設立から約3ヶ月後の2001年10月30日(*15)の入札で、旧SNKの所有していた知的所有権を破産管財人より一括で譲渡を受けている。これによりプレイモアは前述のサン・アミューズメント、ブレッツァソフトと共に、旧SNKの後継会社として本格的にスタートを切った。 その後は2003〜2005年にかけて、プレイモアはSNKプレイモアに社名変更、ブレッツァソフトとサン・アミューズメントもSNKプレイモアの元に吸収される形で合流し一本化。さらにその後に紆余曲折を経て2015〜2016年、中国の某企業が筆頭株主になったことで中国資本が参入、社名も旧SNKと同じSNKになり、ここで名実ともに2代目SNK(新社)となって今に至る。 問題キャラ・K9999 + 長いので畳み 草薙京の9999番目のクローンという設定(*16)で登場する新キャラ「K9999(ケイ・フォーナイン)」だが、名作漫画及びアニメ映画『AKIRA』に出てくる「島鉄雄」そっくり。 「そっくり」と一言で述べても、その度合いは想像を遥かに超えているもので、具体的に挙げると、声優が同じ佐々木望氏である事もさることながら、セリフ、プロフィール、動き、技名、勝ちポーズと、なんと全てが露骨に似せられている。あまりにも高い原作再現度を評価している『AKIRA』ファンさえ存在する。 そのことに関連しているのかは不明であるが、2002年に『AKIRA PSYCHO BALL』という、『KOF』側のキャラのアテナの技名「サイコボール」からとったと思しき『AKIRA』のゲームが出されている。 元々は『装甲騎兵ボトムズ』の主人公、キリコ・キュービィーの様なキャラになる予定だったという。髪の色や衣装にその片鱗が見て取れる。しかし続編の2Pカラーは…。 なお、当時の格ゲーにおけるパクリパクられはこの作品、あるいはSNKに限った話ではない。イメージの借用、技名のパロディネタはもはや常態化していたと言っても良い。特に同じ格ゲーメーカーであるカプコン相手はほとんどお互い様と言えるレベルであり、むしろ両社が互いのパクリを許容しあっていたと言っていいくらいだろう。 本作でもK9999以外にも数多くのパクリネタが存在するし、『2000』以前のKOFシリーズや、『月華の剣士』など他一部の作品もそれは同様。もちろん、SNK以外の格ゲーメーカーも、多くのパクリキャラを登場させている。そして、そんな業界でさえ、K9999だけは黒歴史化したと言う所に本作の凄まじさはある。 例えばKOF公式サイトでは、スタッフによるキャラの裏話や個人的感想などのコメントが書かれているのだが、かつてK9999のページではスタッフのコメントも伏字だらけと色々な意味で触れるのが怖いキャラとなっていた(参考・当時のアーカイブ)上に、サイトリニューアル後はさらに自粛で文章が大幅に短く編集され、終わりには「う~ん、本当にコメントが難しい…」とお茶を濁すようなコメントで締めくくられている(参考)。また、キャラ紹介でもリニューアル後は彼一人のページのみイラストが消された上、キャラクター紹介本である「キャラクターエンサイクロペディア」でも彼だけがシルエットのままなど、事実上の黒歴史となっている。 そのためK9999は『2002』を最後に登場しなくなり、リメイク版の『2002UM』ではよく似た性能の新キャラ「ネームレス」に出番を譲る形になった。 例外としてPS2版2002UMに収録されているネオジオモード(無印2002)では普通に登場している。 これ以外にも、(後述の「移植」でも紹介するが)2007年にNEOGEOオンラインコレクションシリーズのうち一つとして発売された『KOF ネスツ編』に『2001』が、筐体をミニ化しての復刻が2016年頃から流行った際にSNKからも発売したネオジオミニシリーズ(2018年〜)やネオジオアーケードスティックプロ(2019年)にも『2001』『2002』が収録されており、配信サービスであるアーケードアーカイブスのアケアカNEOGEOシリーズのうち一作として『2001』と『2002』も配信されたりなどでK9999登場作の移植はされており、K9999本人も確りと登場している。少なくとも彼の登場作2作の移植自体に関しては問題ないようである(完全NGなら移植すら不可能なはずである)。 さらに、約15年後に発売されたナンバリング14作目の『XIV』には完全新キャラの一人として、「ネスツの残党であり、かつてはネスツ内で不良品扱いされていたが後に隠されていた潜在能力を開眼させた」という、K9999と似たような境遇・設定を持つシルヴィ・ポーラ・ポーラが登場している。前述のネームレスが「性能」を継承し似せたのであれば、このシルヴィは「設定」が似ている、といったところだろうか。 格闘ゲーム以外では、恋愛ゲーム『デイズオブメモリーズ(DOM)』シリーズにK9999らしき面影が少しだけ出ている。こちらも名前が出ているわけではなく、あくまでそれらしき描写に留まっているが…。 『僕と彼女の熱い夏』(DS版では『DOM1』収録)では、名前や姿こそ出ないがK と対立する不良として「あっち行ってろぉ!」や「てめえも往っちまえ!」などK9999のような台詞を喋るモブ不良が登場している。ちなみにアンヘルっぽい不良もいる。 『僕と彼女と古都の恋』(DS版では『DOM3』収録)では、相棒アンヘルがヒロインとして登場した際にK9999っぽい姿のヌイグルミが登場している。あくまでヌイグルミなのでギリギリセーフだったのだろうか。 DOM以外の作品ではソーシャルゲーム作品『SNKドリームバトル』『KOFバトルフェスタ』の2作品でK9999本人がまさかの参戦を果たしていた。 ちなみに、後者の作品で参戦が決定した際に、同作でナビゲーターを務めている舞から「いろいろと大丈夫かしら…(汗」とコメントされていたのだが、彼の参戦後に両作同時にサービスが終了する事になってしまった。本当に彼が原因なのか、終わりかけだから彼を参戦させたのかは不明である。 一方で『2003』や『KMAXIMUM IMPACT』シリーズに関わったFALCOON氏は 「みなさんが思っている理由で彼が封印されたわけではない…ということです。」「みなさんが思っている理由が本当の理由なら封印されるべきキャラクターは他にもゴマンと居る。」「そういう意味でもK9999の封印理由は実に特異でした。」とTwitterにて述べており、KOF公式サイトでの扱いも控えめな理由が『AKIRA』絡みの問題ではない可能性もある。 参考リンク1 2 リメイク作品である『2002UM』を除いてもアンヘルが『XIV』で、メイ・リーほかの『2001』出典キャラがスマートフォン向けアプリ『KOFオールスター』や『KOF 98 UMOL』で再登場している現在においてもK9999の封印理由は不透明なままである。 『XV』で意外な展開を迎えるまでK9999については多くの議論が交わされることになった。 また、彼に関する余談・ネタとして、超必殺技の「てめぇも往っちまえ!!」をCPU戦で相手にヒットさせた時、入るスコアが異常に高いというものがある。 そのため、一人プレイでハイスコアを狙うスコアアタック目的の際は必須のメンバーでもあった。 これによりランキングもK9999一色に染まる結果になり、元からある鉄雄そっくりな存在感に加えてランキングにおいても稼げるメンバーとしての存在感を誇り、より目立つことになってしまったとも言えるが…。 ちなみに、彼の超必殺技のコマンドは前述のものと「月…」の2種類とも、あのギース・ハワードのレイジングストームと同じ独特なコマンドとなっており(*17)、「レイジングコマンド」と呼ばれるくらい他のキャラや技に採用されるのが非常に珍しいため異例であった。 移植(ネオジオROM以外) 【DC】THE KING OF FIGHTERS 2001(2002年12月26日 発売元:プレイモア) DC版ではパズルゲームモードや過去作の背景、今作のアレンジ背景などが収録されている他、ボスキャラも使える。 ボスのイグニスとゼロはサバイバルモードを全42人抜きで解禁される。ただし使えるのは対戦・プラクティス・サバイバルのみ。 チームも組むことができず、ゼロは他に誰を選んでも強制的にチームメイトが専属ストライカー3名に変更、イグニスは誰を選んでもイグニス一人固定になる仕様。その後の移植版はボスを使えるモード等は異なるものの、これらのボス絡みの特殊システムに関しては共通仕様である。 パズルモードは前作DC版のジグソーパズルから打って変わって、本格的な対戦型落ちものパズルゲームとなっている。本編のシングルモードのように使用キャラクター1名を選んで勝ち進んでいく対戦形式の内容で、さながらカプコンの『スーパーパズルファイターIIX』のようにキャラクターがブロックの設置や消去に応じてアクション演出を繰り出すというもの。背景などは本編のグラフィックをそのまま流用している。 正方形型に組まれた4個1組のブロックを落とし、同じ色を4つ以上つなげると消えるルール。試合開始時に予め配置されたフィールド内のブロックを先に全て消すと勝利。フィールド自体は『テトリス』等の一般的なパズルゲームに準じているが、画面が上下分割されてフィールドが横向きかつ互い違いに配置されており、1P側は左から右に、2P側は右から左にブロックを落とすという独特の画面構成になっている。ターン数経過とともに1段ずつ徐々に底がせり上がっていくという要素もある。 連鎖や、ゲージを消費するキャラクター別の超必殺技(*18)などの逆転要素などもあり、中々に遊べる出来である。何故唐突にKOFの落ち物パズルが収録されたのかという疑問点はあるが。 ステージが多数追加されており、本作での各ステージの別バージョンの他、過去作からの復活ステージも収録している。 のちに「ドリコレ」として廉価版が発売。 【PS2】THE KING OF FIGHTERS 2001 (2003年10月23日 発売元:SNKプレイモア) PS2単体版は新規OPに差し替え、背景が3D(というより多重スクロール)化されて綺麗になっている。 問題点の項目のバランスにおける問題点で記したように、このPS2版単体版では幾つか対戦バランスを壊していたバグや技や性能の仕様に修正や調整が入り(フォクシーの小足連打でガード不能になるバグやクーラのレイ・スピン絡みの永久が削除されるなど)アーケード版よりは多少は改善されている。 後述の隠し要素として解禁されるボス2体が下記パーティーモードを除く全モードで使用可能になった。それに加え、ゼロ専属ストライカーだった3名(クリザリッド・グルガン・龍)を他のキャラのストライカーにも使用可能になった(これらはPS2単体版限定の要素)。 ゼロとイグニスはDC版同様、任意のチームを組めない特殊なキャラクターとなっている。 ゼロ専属ストライカーの3名はキャラクター選択画面にきちんと並ぶものの残念ながらメインキャラクターとしては使用できず、オーダーセレクト画面で自動的にストライカーに回される。 PS2単体版の独自要素として、キャラクターセレクト画面、試合中の顔アイコン、勝利デモ画面の絵が全て公式イラストと同じもの(ドット絵ではなく高画質取り込み)にことごとく差し替えられている。 アーケード版のグラフィックは上述のようにジョーのほぼ全裸や一部の表情が特徴的な変顔過ぎて不評だったこともあり、差し替えについてはやむなしと言われる一方で、あらゆる場面で全て同一の公式イラスト流用になってしまったことで面白みがなくなったと取られることも。 隠し要素はパーティーモード(いわゆるサバイバルモード)で何人抜きしたかに応じて解禁されていくが、全ての要素を解禁するためにはなんと200人抜きしなければならない。 これだけ読むとじゃあ単に200人抜きすれば全要素が一気に解禁されるかというとそうではなく、実際は初回から200人抜きしたとしても解禁されるのは最初の10人抜きのものだけとなるので、全ての要素を出現させるために都度プレイ数も重ねて何度も繰り返さなければならないため(最低でも14周)、とんでもなく面倒な作業になる。(*19) DC版のサバイバルとは違いCPUは非常に弱いため(特に序盤の敵は棒立ちして何もしてこないことも多い)倒し続けるのは楽ではあるのだが、このせいで単に相手が多いだけの作業になってしまっており、解禁作業が終わった後はサバイバルモードとしてもあまり役に立たないので存在意義が薄い。さらにこのモードに限り隠しキャラは使用不可。 【PS2】ザ・キング・オブ・ファイターズ~ネスツ編~(2007年4月19日 発売元:SNKプレイモア) 後に発売されたPS2のNEOGEOオンラインコレンクション『ザ・キング・オブ・ファイターズ~ネスツ編~』は、『 99』『2000』とともにネオジオ版ベースとDC版ベースの移植版が両方収録されている。こちらには上記のPS2単体版の追加要素はなく、OPやイラスト等もAC準拠のまま。 DC移植版については隠し要素が最初から全て解禁されている上、ボスキャラクターが全モードで使用可能になっている。 もちろんDC版限定だったパズルゲームもそのまま収録されており、格闘ゲーム本編だけでなくパズルゲームの方もオンライン対戦することができた(オンライン機能は2010年終了)。 その一方で、本作収録のDC移植版3作共通事項として原作よりも音質が低下しており、特に『2001』については一部音割れが見られる等、この点では評価が低い。 ネオジオ移植版はネオジオモードとして収録しており基本的にそのまま。というか今作はDC移植版がメインのためか、移植版はそのまんますぎるほどベタ移植であり、設定項目も非常に少なく不親切なため、あくまでもオマケである。 特に今作については差異が少ない上に、ネオジオモードはキーコンフィグすら出来ないので、ネオジオ版をプレイする意義もほとんどない。 過去のDC版やPS2単体版に存在しなかったアレンジBGMが追加されているが、原曲より良いとはいえ、元の曲の事もあって評価は微妙な所である。 【PS4/Switch/One/Win】アケアカNEOGEO ザ・キング・オブ・ファイターズ 2001(2018年9月27日 配信元:ハムスター) アケアカNEOGEOとして配信。 同シリーズの他タイトルと同じくアーケード(MVS)版ベースの移植。